丹後に向かいました
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前任者から引き継いだままになっていた分校の大掃除が1つの課題でした。見通しをつけるために1週間はかかるであろう、と覚悟して出かけました。 一緒に掃除に当たる現地球デザインスクールのスタッフの多くは、京都府の公園の1つ「京都府立丹後海と星が見える丘公園」の維持管理などを地球デザインスクールが受託した後で加わっています。ですから、前任者が宮津市から借り受けていた分校・宮津市の1小学校が廃校にした分校を引き継いだものの、使わずじまいになっています。 不要なら宮津市に返すうえで、あるいは独自の力を蓄えて受託事業より充実するうえで、いずれにせよ大掃除をしなければいけない、と判断しました。とはいえ、惨状といってよい散らかり方の分校の大掃除だけでは気が沈んでしまいます。そこで、スタッフの間で、受託した公園の維持管理を充実する機運が高まったのを幸いに、その勢いを大掃除にも振る向けることにしました。 そのための時間は、公園が雪に埋まる厳しい期間、それは来園者がいなくなる期間でもあり、公園の草木の成長が止まり手入れに追われない期間に捻出しなければなりません。そこで、公園の一角でアイトワ精神に基づく空間の手入れを試みようとする機運を幸いに、まず記念樹の植栽から手を着けて意気をさらに高めあうことにしたわけです。 このプロジェクトにボランティア参加してもらえることになった造園作家の助力を得て、まずアイトワで2本が一緒に育つ楓の1株を掘り出し、池田の苗木屋では3株のサンシユと10数種の苗木を買い求めました。アイトワ精神に関心を持った人たちが、それぞれの役割を期待した苗木を選び、植栽することになったわけです。 ところが、宮津ではまだ雪が残っていましたので、1株の楓と、3株のサンシユは本植えできましたが、10数種の苗木はポットに仮植えしました。そのうえで本格化に分校の大掃除に手をつけたのです。その最中に、ボランティア参加の造園作家の誕生日が19日であったと知ったスタッフたちは、スタッフの一人の奥さんにバースデーケーキを創ってもらい、造園作家に贈りました。いやがうえにも雰囲気は明るくなりました。 また、記念植樹や分校の掃除に参加することになった理事長が、成婚間もないことを知ったスタッフたちはサプライズ計画もたてました。さらに、アイトワの庭仕事に幾度か参加した経験のある仏大の学生が2人、このプロジェクトにもボランティア参加してくれることになりました。それは実質上ではたった1日でしたが、ここぞとばかりに私は勢い付ける計画を立てました。サプライズ計画をマイナアスアルファーからプラスアルファーに転ずる策です。 集団行動を円滑に進めるうえでサプライズ計画はとても大切ですが、サプライズ計画に躍起になり、肝心の作業がそれだけおろそかになったのでは逆効果。つまりマイナアスアルファーの作業になってしまいます。そこで、サプライズ計画を大掃除に勢いをつけるために活かし、プラスアルファーにするように導いたわけです。 ボランティア参加の造園作家だけでなく、2人の仏大生のボランティアも大活躍でした。造園作家は、第3者の目に見苦しく映るものを目ざとく見つけだし、次々と取り除くなどしました。ボランティア学生は前夜から参加したのですが、若い力を存分に発揮しました。 2人の学生も、スタッフが目的意識を高めるために用意した酒盛りに参加しました。夜遅くまでつきあってくれましたが、寝坊をしたのでは意味がありません。そこで、寝る前に「7時に起きて仕上げておくように」と課題を与えました。 翌朝、7時前に起き出し、与えた課題があるところに出向き、驚きました。ほぼ仕上がっていたのです。寒い朝でしたが、実にすがすがしい朝になりました。 こうした援軍のおかげもあって、スタッフは実によく働きました。手分けをしたり、連携を取ったり、協力し合ったりして、私が期待していた見かけ上の大掃除の2倍以上の成果を上げました。それは、実質的にほぼ4倍の成果でした。 というのは、雪のために屋内に限った大掃除と見ていたのですが、好天に恵まれ、屋外にまで手を広げることが出来たからです。しかも、とりわけ屋外には、目に見えていたゴミだけでなく、目に見えないところに突っ込んだり、積み上げたりしていたゴミの方がはるかに多かったのです。なんと軽4輪トラックに換算すると、30台ものゴミを運び出しました。くわえて、同等の量の木や竹からなるゴミがあり、それらは校庭で焼却しました。割れたガラス、合板、張り付いたガムテープ、あるいは少しでもプラスチックを伴ったものはことごとく取り除き、燃やしました。 大掃除では、10時と3時の2回、休憩の時間がありました。屋内の掃除の最中に越冬しているテントウムシを見ました。苗木を仕入れに行ったところでベトナムのツバキを見ました。こうしたことがすべて一服の清涼剤になりました。 美味にも触れました。泊めてもらったスタッフの家では刺身も美味しかった。実は、サバの刺身は初体験でした。湯たんぽでやすみましたが、久方ぶりの体験です。最後の夜は、別のスタッフに温泉と小料理屋に案内してもらい、そこで馬肉の刺身や寿司をご馳走になりました。ツブフグの握りとタラの白子の寿司、そして馬肉のタテガミも初めて食しています。 最も散らかっていた部屋は、一度すべて運び出し、別の部屋から、古いピアノ、木の机や椅子、座高を測る計器などを見つけ出して運び込むなどして模様替えしました。幾人かのスタッフがピアノの鍵盤に触れ、それなりの音を楽しんでいました。 |
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宮津ではまだ雪が残っていました |
1株の楓 |
10数種の苗木はポットに仮植えしました |
造園作家に贈りました |
サプライズ計画 |
驚きました |
ほぼ仕上がっていたのです |
テントウムシを見ました |
ベトナムのツバキ |
スタッフの家では刺身 |
湯たんぽでやすみました |
ツブフグの握りとタラの白子の寿司 |
最も散らかっていた部屋 |
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