いつまで活かせてやれることやら
 

 庭に自生したノバラは、直径1センチほどの小さな白い花をたくさんつけます。それが可愛くて、切り取らずに育てることにしたのです。問題は、順回路の側に生えたものですから、選定しないと庭を巡る人を傷つけかねないことです。

 そこで、剪定し始めたのですが、棘だらけのノバラだけに、半日もかかった右手を傷だらけにしました。棘のきつい枝に直接触れる左手は工事用の皮手袋をはめました。右手は植木バサミを使う関係で、硬い手袋ではらちがあきません。やむなく軍手にとどめたものですからトゲで幾箇所も傷をこうむってしまいました。そのかいあって、思ったように剪定ができたときは、とても大きな満足感に浸れました。

 これに似た苦労と満足感を、かつて30年ほどにわたって味わっていた時代があります。赤松です。この場合は、痛さは尖った葉の先に触れる程度ですからたいしたことはありません。しかし、木によじ登る必要がありましたから大変でした。しかも、この赤松の周辺にあるハナスオウや枝垂れ梅が大きく育ち、競合し始めました。そこで、先々のことを考え、樹齢40年近くの貫禄のある赤松を切り取っています。これが加齢対策の一環として木を切り取った最初のケースではなかったか、と思います。

 同様に、このノバラもいつまで活かせてやれるか分かりません。樹齢が増し、木の元気がなくなるかもしれない。深刻なほど、葉を蝕むムシを呼ぶかもしれない。他の樹木の生長との関係でやむなくなど、さまざまな問題に直面するのではないでしょうか。
 


ノバラの剪定 Before


After