賢いのか、バカになり始めた生き物か
 

  まえの公道で、犬を散歩させていた人が、「サルが大根をかじっていましたよ」と教えてくれました。その翌朝、野菜を取りに出た妻が、「かじられていました」といってアイトワ菜の一本を持って帰ってきました。

 先週とりあげた菜です。かじられた部分を切り取って、残りを妻はその日の夕食の2品として活かしました

 さらにその朝、今度はブロッコリーを一本取られました、といって妻が戻ってきました。例年なら11月から収穫期に入るブロッコリーなのに、ことしは花芽をやっとつけ始めた段階で、未だ私たちは収穫を始めていない作物です。困ったものだと思って、トンネル栽培に切り換えました。その後、週末までブロッコリーは襲われていません。

 トンネルを作りながら考えました。サルは賢いのか、バカになり始めたのか、とふと思ったわけです。その花芽を折り取られたブロッコリーも、葉を小鳥についばまれていたからです。これまでは、小鳥に花芽をついばまれたことがありません。それはきっと、種を結ぶ花芽にまで手を出せば、未来を暗くすると本能に刷り込まれているからに違いない、と解釈してきました。

 昆虫もそうですが、小鳥と同様に、手を出す場合は、満遍に出すのではなく、出す対象を絞り込み、集中的にむしばみます。これは本能が正常に働いている査証で、未来の飢餓を恐れているのではないでしょうか。いつも賢いなあ、と感心させられます。最も、極端な餌不足状態に陥れたら、それどころの騒ぎではなくしてしまいます。ですから、虫や小鳥をこの賢さを発揮できる状態を保てるようにしなくては、と思わせられてきました。

 ところがサルは違います。柿を狙ったときも、1つ残らず食べてしまいました。ブロッコリーは花芽から狙いました。きっとバカになり始めた生き物、未来世代のことを思いやらなくなった動物ではないでしょうか。
 

アイトワ菜の一本

夕食の2品として活かしました

ブロッコリーを一本取られました

トンネル栽培に切り換えました

小鳥と同様