生豊樹
 


 私は庭に植栽する木を4種に分けてきました。観賞樹、資材樹、資源樹、そして生豊樹の4分類です。そして、先の3種も生豊樹化するように工夫しています。

 生豊樹とは、日々の、ないしは生涯の暮らしを、より豊かで麗しい生活にできるように、つまり生活を成り立たせる上で有効な庭にとって不可欠な木のことです。具体的には、シチューをつく る度に葉を用いるローリエ、冷奴などに葉を添えるナンテンなど、日々の幸せな生活を豊沢する上で有用な木であることを意味しています。

 観賞樹とは、サクラ、モチ、モッコクなど鑑賞を楽しむ樹種で、これまでの見て楽しむ庭の主役ですが、これらの木を夏の日陰作りや、冬や台風時の防風林として活かせるところに植えることのよって生 豊樹化するように工夫しています。

 資材樹とは、サンシユやカシワなどの薬木、ニッケイやサンショウなどの香木、あるいは芽を天ぷらなどにするタラノキなどに加えて、楊枝に用いるクロモジや、神事の季節が巡ってくる度に役立つサカキなどの樹種です。これらの木も、役立てやすい場所に植たり邪魔にならない位置に植たりするだけでなく、目隠しや風の流れを調節するところに植えたりして生 豊樹化するように務めています。

 資源樹とは、椎茸のホダ木や燃料にするクヌギ、保存食にもできる実がとれるクリやクルミなどを当てており、これも生豊樹化するように植える位置を工夫しています

 梅は観賞樹か資材樹か、樫は燃料にする場合は資源樹だけど、鎌の手に用いる場合は資材樹ではないか、など厳密には分けられません。そこがここで強調したいところです。つまり、これまでの庭づくりは「見て楽しむ庭」に偏っていましたが、これからはすべての木を「生活を成り立たせる上で有効な庭」つまりエコライフガーデンを形成させるように生 豊樹化すべきだといいたいのです。この機能を有する庭、エコライフガーデンを作り上げることができたら、つまり家屋と庭を一体として暮らしやすくしたら、最も美しい住処にできるのではないでしょうか。

 エコライフガーデンは、観賞樹も生豊樹にしてしまうだけでなく、すべての木がよってたかって気候を和らげたり、空気を浄化したり、ゆくゆくは燃料として役立ったりしてくれるように 、つまり生計を豊沢にするように樹種や植える場所、あるいはその組み合わせ方を工夫された庭であるわけです。

 

椎茸のホダ木