社会の縮図
 

 欠席した仲間の1人は、最近の労作、一枚ものの「世界の歴史年表」を送り届けていました。すごい出来栄えでしたが、なぜかBC3年から始まっていました。私はBC10000年から、つまり農業革命の頃から始まっていてほしかった。そうでないとアフリカ一帯が真っ白で、ヒトから人への原点が理解しにくいのではないでしょうか。せめてキリスト誕生のBC30年から始めてほしかった。

 同窓生26人中4人が女性でしたが、2人は未婚、子どもをもうけたのは1人で、その人は30年ほど前に離婚していました。未婚の2人は教職の身となり、近年退官。既婚だが子どもをもうけなかった(恵まれなかった?)女性は1級建築士で、アイトワの建築に関わってもらった人です。

 ミノルタに、社名変更する前の千代田工業時代に就職した男は、「今はコニカミノルタだ」と語りました。コニカは日本で最初にフイルムを作った会社ですし、ミノルタは日本で最初にカメラを作った会社だと思いますが、コニカミノルタはデジカメに集中しているようです。

 世界の名車に関わった男もいました。2人乗りスポーツカー「ロードスター」の開発です。過日新聞で「世界で最も多くのファンを獲得したクーペ」と紹介されましたが、その基本の形、つまり型を見て、瞬間的に彼が卒業研究で生み出した車を思い出しました。

 過日一献傾けた折に、味覚を失うという奇妙な体験を聴いた男から、「寛快」という言葉を教えてもらいました。彼は悪性リンパ腫を克服し、あと1年で完治と認められるそうですが、「あと1年で寛快だ」と言ったのです。ガンの完治は「寛快」というようです。

 デザインはゴミ作り、と気づいた男もいました。そこで医療機器のデザイン部門に転属を希望し、夢はかなった。しかし新たな悩みを抱えました。医療機器が高額化しており、無用な検査を繰り返さないと採算ラインに乗らない、という新たな問題に直面したわけです。

 次の3つの話は、とりわけ最後の話は、わたし好みではありません。こういう話に興味を持ち出すと、一時は「その点、俺は幸せだ」と感じるのですが、次第に不幸をうつされたような人生になりかねません。無用な用心をしたり、人を疑ったりするクセを身につけ、幸せが逃げて行きそうで心配です。でも結構真剣に耳を傾けている人がいました。

 ボランティア活動に精を出している人が大勢いました。その1人から、奇妙な決まりを聞きました。選挙管理委員をしているようですが。自治体ごとに4人との決まりがあるそうです。東京都も4人なら、地方の村も4人だというのです。その根拠までは聞きそびれました。別の男は、「仕分け」を丁寧にすれば、わが国の国家予算は大幅に減らせそうだ、との印象を抱かせました。多くの人がよってたかって税金の無駄遣いに狂奔しているのかもしれません。

 計画的に奥さんに裸にされた男もいました。離婚話が持ち上がり、離婚手続きを済ませて気づいたときは、すべての財産が妻名義になっていたとか。