イモを思い出し
 

 宮崎県の沖合にある小島、幸島で誕生したというサルの思い出です。餌づけでまかれたサツマイモを手に入れると、この小猿は海水で洗って食べるようになった。土を落とすことができるうえに塩味が着き、おいしかったのでしょう。

 やがてこのやり方を同期の小猿が真似るようになり、次いでそのお兄さんお姉さん世代のサルに伝播し、やがては母ザルたちも真似るようになったようです。ところが、成獣になっていた雄猿からは真似るのが出ず、生涯を終えたといわれます。

 その後、成獣の雄猿もサツマイモを海水で洗って食べるようになっていますが、それは子どもの頃に身につけた技を守り通しているだけです。今や、そのサルの群れでは、イモが始めた方式をその子や孫にも受け継がれているとか。こうした世代を超えて伝わる技術も文化と呼んでいいのでしょう。