素晴らしい1日
 

 それは、トッテン宅までのガイド役に立った私が道に迷ったことにより、結果として志賀さんとトッテンさんの出会いをより素晴らしいものにしたことから始まりました。「ここは北区ですよ、その住所なら左京区と違いますか」とクロネコヤマトの集配人から聴いた時は、焦りが頂点に達しました。京都の街は碁盤状と甘く見たことと、鴨川と賀茂川をごっちゃにしたり下鴨神社と上賀茂神社を間違えたりしたことが原因でした。

 その頃からトッテンさんに4度も電話をもらい、ある「橋の袂まで出迎える」といってもらえたおかげで、やっとたどり着けた次第です。その間に、志賀さんに「トッテンさんは、悪意や卑劣でない限りとても優しい人ですから」と勝手な説明をして自分を慰めたのですが、現実はそれ以上でした。また、志賀さんも、こうしたミステイクにはとても鷹揚な人でした。

 素人養蜂の先輩、鳥居先生に案内いただいたご近所のお宅では、奥さんがアイトワを1度訪ねておられました。ビスク人形に打ち込んでおられる人ですが、妻に人形の髪型作りの1日手ほどきを受けるためで別荘街でしたが、その1軒のコンクリート製の隔壁にある水抜きの穴を、ハチは出入口にしていました。この穴の奥には相当大きな空洞ができているようで、師匠はかなり大きな群れが、大きな巣を作っているようだ、と睨んでおられました。

 この事と次第を夕食後に妻に話したのですが、それが悪酔いに結びつきました。妻によれば、かつて私が志賀さんのような立場になったときに、妻に向かって「どっちを向いて走っているんだ」などと騒ぎ立てたというのです。痛く反省させられました。志賀さんがそういう人であれば、私のパニック状態は極限に達していたと思います。