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生涯構想の補強 10/05/16

 過去1年を振り返りますと、1番印象深いことは、生涯構想を補強したことです。それは、世界的な食糧の争奪時代が近づいていることを日々危惧していたおかげといえば、おかげでしょう。そのおかげの上に、エコライフガーデンを教材として活かす教育プログラムの話が続けて2つ生じました。さらに同時進行的に、幸せなめぐり合わせが2つも重なったのです。それらが、1つの悲しい出来事を幸運に転じさせたような事になったわけです。

 もはや庭には新たな木を植える余地などなくなっていましたが、囲炉裏場に木陰を作らせる大切なクヌギ(囲炉裏の南東方向にあった)が忽然と立ち枯れるという不幸が生じました。さっそくその代役として育てるクルミの苗木を植えました。そのあとで2つの教育プログラムの話だけでなく、2つの幸せなめぐり合わせが続けざまに生じたのです。乙佳さんに数本のクルミの苗木をもらい、学生から助っ人になることを志願されたのです。

 そこで、「どこに植えつけようか」と持て余していたクルミの苗木を、学生に竹やぶの一部を切り開いてもらい、植えることにしたのです。その竹は囲炉裏の南々東方向に生えていましたから、囲炉裏場に木陰を作らせる上では不可欠でした。にもかかわらず、切り取ってしまうことにしたのです。おそらく、私は死ぬまで夏場のカンカン照りの日は、午前中の囲炉裏場を使う気にはなれないことでしょう。でも、あえて決断しました。

 それは、私の積年の願いを、学生と一緒に形にして、学生と乙佳さんにとっても良き思い出にしたく思ったのです。その願いとは、本来は国家が音頭をとって進めておくべきことです。この国にある700万本近い街路樹を、世界的な食糧難時代に備えて、樹種を変えておく事業の展開ですが、その機運さえ感じられません。たとえば、イチョウなら、これまでは臭い実がつかない雄木が植えられてきましたが、雌木に植え替えておく、といった具合です。

 この願いを小さな形として残すために、竹だけでなく幾つかの大きな円卓状の植え込みも取りはらい、間伐すべき木も切り取ってもらいました。私が40〜50歳代であったならば、1人で1〜2年分の休日をかけて実現していたことでしょう。しかし、70代に入ったいまでは、毎日のように取り組んでも1人では現実させられていなかったと思います。学生をはじめ、さまざまな人が与えてくださったきっかけのおかげで、それを半年ほどで済ませられたのです。

 それだけではありません。学生のおかげでセーブできた時間と勢力は、学生へのお礼の気持ちで割いた昼食時などのレクチャーの時間を遥かに超えていました。それは講演や原稿作りの時間にも生かせました。さらに、そこで得たお金で庭師に太い杉の頭やサクラの枝を切り取ってもらうこともできたのです。かくして、半年で生涯構想を補強することができたかけです。この狭い日本でも、こうした心構えで改造すれば、今の人口を食の面で満たせそうだと語り合うにもってこいの生活空間を創出するライフワークを、総仕上げのように補強できたのです。

 常緑樹や実がなっても利用価値が少ないグミなどに代えて、クルミ、大きな実が付くナツメなど実用性の高い木を10数本も増やすことができました。養蜂にも手を出すことできましたし、薪の備蓄を1年分増やせました。食用や薬用などに生かせる野草の充実も計れました。それよりも何よりも、道行く人が、この庭の在様を見て、とても「気持ちが良い」とか「美しい」と感心する度合い高まったことが嬉しい。もちろん、住人であるわたしたち夫婦は、日毎に変化する景色を日々楽しんでいます。1週間も留守にすれば、その変わりようにびっくりさせられます。いつも想像以上に大きく変化しているのです。それは心身をとても和ませます。

 
竹やぶを切り開いて植えたクルミが元気に芽を出しました。合計4本のクルミの木が南北に並んで生い茂ることになりそうです。

スモモです。円卓上の植え込みを抜き去り、植えつけました。来年には多くの花をつけ、隣にあるスモモの木と花粉を交換しあい、多くの実を結ばせるに違いありません。

キイチゴの木も丈夫そうな新芽を出しました。妻が幼児期に最も山で楽しみにしたという黄色い実が生る山苺です。近くその味や、味わい方を私も試せそうです。

腐葉土小屋も2室にしきって整備ができました。一方は、腐葉土が残り少なくなっており、他方は落葉を積み上げています。残り少ない腐葉土は、夏が終わるまで放置しておくカブトムシの幼虫の食糧にする分です。新たに積み上げつつある方は、すでに始まった常緑樹の落葉をこれから々と積み上げます。

新芽を吹いたウコギ(左手前はポンカンの苗木)です。この新たに植えた4本が育て、計6本のウコギの木がかて飯やおひたしなどに役立ってくれることになるわけです。

フキ畑(左)です。庭をめぐりをしながら数ケ所で立ち止まれば、相当のフキを摘めるでしょう。お惣菜はもとより、キャラブキにも活かして、友だちにも送れそうです。シダ類の整理もしました。自生のさまざまなシダを減らし、食用になるコゴミの新しい群生場所を作りました。今は3 ケ所に手を付けているところです。

薪の備蓄を1年分増やせました。ストーブ用と風呂用に分けて、6ケ所で備蓄していますが、この薪小屋はストーブ用と風呂用の両方を備蓄しています。