山に放すまでの3時間あまり
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つかまえて大きなダンボール箱に入れた当初は、2匹は隅で寄り添い、顔を隠していました。 私は,動物園に電話をしましたが、「鳥獣保護法に従って山に放せ」と助言されました。人里に連れられてきたイノシシの子ですから、「そのうちに大きく育ち、農作物を荒らしに来るに違いありません」と不平を漏らしましたが、「その時は,農作物被害を訴えでて狩猟許可をとり、有資格者にとってもらってください」との返事です。 そうこうしている間に、ウリボウは少しなれたのでしょうか。顔を見せてくれるようになりました。背中などをさすっていると、カメラを近寄らせるまでになりました。どうやら腹をすかせていそうに思われましたから、容器にいれた牛乳を与えたのですが、飲みません。そこで妻が人工おっぱいを考案しました。ゴム手袋を生かしたわけです。 そうなると、1匹は飛びつくようにして吸い付くまでになり、小ぶりの方はその元気はありません。同じ腹から生まれたのでしょうに。個体差に驚かされながら夜を待つことにしました。夕食の準備もあって、私たちは段ボール箱から遠のいたのですが、しばらくするとウリボウは激しく鳴き始めました。「薄暗くなったからもういいだろう」ということで,夕食を後回しにしてウリボウを先に放すことにしたのです。 門扉の外まで段ボール箱をもって行きました。そして、放すと同時にシャッターを切って撮影しようと願い、妻と息を揃えました。放すと脱兎の如く逃げ去るものと思っていたからです。ところが逃げ出さなかったのです。 「どうしたの」と妻がしゃがみますと、そばによってきました。 やむなくつき放すようにして、わたしたちは門扉の中に入り、門扉を閉めますと、なんとウリボウは後をついてきて、門扉の隙間から難なく入り込んできました。 やむなく抱き上げ、母イノシシがミミズを求めて土の掘り返していたところまで連れて行き、母の匂いをかがせるように置いて、私たちが小走りで逃げ返りました。 食事をしながら「お母さんに会えたかな」と私は心配しますと、妻は「見つけているに決まっています」と、見てきたかのようにキッパリと言い切りました。 |
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つかまえて大きなダンボール箱に入れた |
顔を見せてくれるようになりました |
カメラを近寄らせるまでになりました |
人工おっぱいを考案しました |
飛びつくようにして吸い付く |
妻と息を揃えました |
ところが逃げ出さなかったのです |
妻がしゃがみますと、そばによってきました |
妻がしゃがみますと、そばによってきました |
門扉の隙間から難なく入り込んできました |
母の匂いをかがせるように置いて |
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