その1人は毎回集合写真を撮ってくれます。このたびはその写真のデーターに、次のような一文を添えて送ってくれました。
諸兄
恒例の「定点観測記録」をお届けします。
このような写真は99年1月26日の集いから撮り始めており、
私のアルバムには既に15枚の記録が残っています。
この間の折々の写真を眺めていると、『年々歳歳花相似
歳歳年年人不同』との唐詩の一節を想い出しました。
諸兄にはご自愛の上、元気で次回もまた『人生七十古来稀』を実践しましょう。
これは8世紀盛唐の詩人、杜甫の詩の一節で、対句となる前の句と合わせて、
『(酒の借金は普段行くところ、どこにでもあるものなのだ。)
そんなことより人生は短く、七十まで生きた者はこれまで滅多にいない。
(せめて生きている間、酒でも飲もうではないか)』というような意味らしいです。
小生迂闊にも、これは70歳に達した杜甫が感慨深く詠んだのだろうと思っていましたが、なんと杜甫47歳の作だそうで、59歳で世を去っています。
しかしこれは8世紀の話、21世紀の現在では、
75歳でやっと「新老人」と呼ぶ意見もあるようです。
「古稀」なんぞは最早死語扱いにして、
酒を愛した同時代の李白のように、
『一杯一杯復一杯』と精々酒を嗜むことにしたいものです。
この記念写真と添文に対して、私は次のように応えまた。
楽しい仲間と過ごす楽しい時間をいつも満喫しています。
貴兄から送っていただく定点観測写真は、その喜びをいつも再現させます。
このたびはその上に、素晴らしい漢詩。思わずメモを取りました。
ついでに甘えるようで申し訳ありませんが、
次の、于武陵(9世紀の唐の人とか)の漢詩
「酒を勧む」の原文をご存じないでしょうか。
君に勧む金屈巵(きんくつし)
満酌辞するを須(もち)いず
花発(と)いて風雪多し
人生別離足る
井伏鱒二の見事な訳も添えさせてもらいます。
コノサカズキヲ受ケテクレ
ドウゾナミナミトツガシテオクレ
ハナニアラシノタトエモアルゾ
「サヨウナラ」ダケガ人生ダ
次にお目にかかる機会を楽しみに。
ちなみに、定点観測写真や飲み会の席次は決まっていません。たまたま今回は、独身寮時代の仲間が3人集まりました。社長になって欲しかったのに専務で病に倒れた友だちと、私が立ち上げさせてもらった子会社の社長になった友だちです。もう一方の写真は前回のもので、たまたま私は良い場所を与えられています。
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