圧倒され通し
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これまでに私は庭で採れた30種あまりのキノコをスケッチしてきましたが、この博士によれば、200種は出そうな環境だそうです。「真菌にとってはこの上ない環境で」とても羨ましく思ってもらえたようです。この街の博士を師匠にして、キノコ菌の世界に肉薄したく思っています。 見事な絵は独特で、独創だそうです。習えば個性が隠れるとの考え方の持主で、共感です。日常の生活を満喫するコツは「創造性」と会得されている人とお見受けしました。私より半年ほど年上の同い年でしたが、とても若々しくて敏捷な動きの出来る人でした。 わが家の庭には、中国では「真菌皇后」とも呼ばれる高級食材のキヌガサタケだけでなく、フランスでは「モリーユ」と呼ぶ高級食材で、トリュフと並び称せられるキノコをすでに収穫し、スケッチしていました。また、私たち夫婦が独断でソテーにして食べたキノコは、このキノコ博士が一番美味しいとおっしゃるハタケシメでした。もちろん、この食べる気になれたのは、この博士のお陰です。スケッチするときに、なめたり嗅いだりすることを勧められており、食べたくなったからです。 この食べたことを電話で知らせたときに、「もっと慎重に」と諭されていますが、その訳も知りました。この博士も、毒キノコを食べてしまい、3日にわたって酷い目にあわれたことがあったとのこと。それ以来、同じ目に合わせた息子にはまったく信用されなくなったとかで、大笑いしました。 この来訪につながったのは、たくさん採れたキノコが毒キノコだとおそわった電話です.もし食べてよいキノコなら、佃煮にでもして、と念のために電話を入れ,死に至るきのこだと知ったのです。一緒に庭を巡ったときにも異なる毒キノコが群生していました。 先に死に至る毒キノコと知ったキノコもスケッチしていますが、2つに割ったときに「コレは食べられそうにない」と思っています。ところが困ったことに、このたびお土産にもらったキノコも、庭で採っていたらきっと食べていなかったと思います。見かけは食べられそうに見えませんでした。 これを機に、記録のとり方を改めることにしました。名言を聞いたからです。たとえばエノキダケのように、「見かけに惑わされてはいけない。日光の具合などで別物のように変わる」、裂いて中身を見ると「本性を現す」との一言です。干すと匂いが出るシイタケのようなキノコもあれば、色が変わるキノコもある。とにかく、真菌の奥の深さとキノコ博士の努力と才能に圧倒され通しでした。 キノコ博士の日記帳の1日は、いきいきして見えました。かく描こうとすれば、毎日数時間は要しそうにさえ見えました。このサイズの日記帳に代えてから20年とのことですし、それ以前から絵日記は始まっています。この集中力には脱帽です。 おもわず、独創で芸術家になったグランマモーゼス、フリーダ・カーロ、あるいは郵便配達夫シュバルの話を持ち出していました。 |
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見事な絵は独特で、独創だそうです |
トリュフと並び称せられるキノコをすでに収穫し、スケッチしていました |
キノコ博士の日記帳の1日は、いきいきして見えました |