3本を切り取る
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気になっていた3本の庭木とは、元気過ぎるキンモクセイ、枯れた太いクヌギ、そして弱っていた楓です。 太いクヌギが枯れた理由はほぼ特定出来ています。かつて頼んだ庭師の、庭師らしからぬ作業が原因でしょう、その作業は、根元から4mほどのところから上部を切り取ってもらうことでしたが、その切り取り方に問題がありました。切り取りたいところに切り口を入れて、ウインチで引き倒す方式が採用されたのです。 木にハシゴを掛けてのぼり、切り口を入れたうえで、木の上部にワイヤーを結わえ、ウインチで引いて引き倒しました。その際に、切り口を入れる人間の安全を優先するがあまりに、切り口の入れ方が少なすぎたわけで、引き倒すときに幹を裂いたわけです。 もちろん裂け目が見えていた部分まで、さらに1mほど切りとったのですが、ついに枯れてしまいました。これで3本目です。裂け目を深く入れた木から順に枯れています。 ちなみにその後は、別の庭師に頼んで、クヌギや杉など20本近くの上部を切り取っていますが、1本たりとも枯れてはいません。その方式は、3人がかりで舌を巻くほど丁寧に切りとるやり方ですが、所要時間は半分ほどで済んでいます。 もちろん、私には上の3人のプロの真似はできませんが、この度の太いクヌギの切り倒しでも、私なりに丁寧な切り取り方をしています。 それはさておき、「木陰のテーブル」ができました。太いクヌギは、根元から切り取って燃料にするつもりでしたが、私が切り残した部分を見て、妻がテーブルとして活かしてはどうか、と提案してくれました。また、切り口は「磨いたほうが」と水町さんが提案してくれましたから磨いてもらい、その上で防腐剤を塗り、おやつの時間などのテーブルとして腐るまで生かす事になりました。当然このテーブルの試し使いはお茶の時間に水町さんと用いました。なお、しばらくの間は、切り倒した方の木もベンチとして活かすことにしました。 次に、弱っていた楓は、心配していたとおりに中は空洞でした。過日、水町さんに「深切と親切」の講義をしましたが、その不深切の1例を目の当たりにしてもらううえでの格好の教材になりました。この空洞部分の腐食は次第に進み、いずれは倒壊、ということにもつながり兼ねません。 木の枝払いなどは、とても注意しないと木そのものを痛めかねず、ちょっとした強風などで折れたり倒れたりする原因になりかねません。もちろん上手な手の入れ方をすれば、むしろ丈夫にできます。 問題はこの殺傷的な切り型と手術型の差異は、切る時期、切る位置、あるいは切りとる量などといった計量的な側面であれば話は比較的簡単に説明できますが、それだけでは済まないことがあるのです。非科学的に聞こえるかもしれませんが、多くの体験者が「愛情を注いだだけ応えてくれるのが植物だ」とよく言いますが、科学では解明しきれていない部分がたくさん残されているように思われます。むしろ、解明できたことはほんの一部分で、しかもその多くに誤解もたくさんふくまれていそうです。 それは、人間に例えて言えば精神的といえそうな側面の問題です。これまでにそうとしか説明がつかない事例にしばしが出くわしてきた妻は、樹木に「元気に芽を出さないと切り取るよ」などとよく言い聞か、脅すことさえあります。 つまり、とても下品な例を引けば、計量的にはよく似た範囲内の行為であれ、女性にとってその行為が陵辱的か愛撫的かによって、その後の身体的な成長に影響しかねないように、樹木など植物の成長にも影響した、としか考えられない現象によく出会います。 この楓は、モミジのトンネルを作っていた1本ですが、枝葉を小倉池の方向に伸ばしていました。その太い枝を「邪魔だ」といって無断で切り取った人がいます。もちろん2重の不法を重ねた行為でしたから厳重注意をし,その後は控えさせました。しかし木は元に戻らないだけでなく、弱ってしまったのです。そこでこのたび思いあまって自ら根元から切り取ったわけです。 幸か不幸か、不深切な切り取り方をしたまま見落としていた細い枝を1本見つけましたので、来週にでも水町さんに深切な切り方を経験してもらおうと思っています・ ちなみに、2重の不法とは、この楓の枝は京都市の池の上に張り出していました。そして、この京都市の池の一部を(埋め立てて道を造り)私有地のように取り込もうとした人が切り取ったものです。その枝を切り取っても、枝を張り出させた人が文句をいわなければ、いずれ(20年もすれば)道の所有権を主張できるようになる、と考えていたのです ちなみに池は、今も京都市の池ですし、この埋め立てた道を法務局は合法的な道とは認めておらず、地籍図では池のままです。しかし、京都市の池を埋め立てた行為や、道として占拠していることに対して京都市は問題として取り上げようとはしません。 |
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私なりに丁寧な切り取り方をしています |
「木陰のテーブル」ができました |
燃料にするつもりでした |
磨いてもらいました |