ソフトウエアーの比重
 

 日本の貿易バランスは黒字ですが、つまり出超ですが、その相手国は、アメリカを始めとしてEU、中国、あるいは韓国など、ことごとくわが国より人件費が低い国であり、逆に入超の国は、つまり赤字になっている相手国はスイスや北欧など人件費が日本より高い国だ、という指摘をした人に最近触れました。

 たまたま手元にあった統計を見ますと、財布など携帯品で言えば、中国からの輸入が1096万本で第1位、2位のイタリヤを大きく引き離しています。2位のイタリヤは中国の約15分の1の75万個です。しかし、金額で見ると逆転し、イタリヤは109億円であり、中国は106億円。イタリヤ製品は、1点あたりの価格で言えば12.5倍であるわけです。同様に、皮もしくは合皮のベルトで言えば、1位の中国は1000万本44.6億円。対して2位のイタリヤは40万本20.9億円となっており、平均単価でいえば、中国製品はイタリヤ製品の25分の1であるわけです。

 つまり、弱小企業がひしめくイタリヤですが、職人の技などソフトウェアー力にものをいわせ、健闘していると見てよさそうです。これは、人件費が高い日本としては、高い人件費に値する職人を養成して未来に備えなければ大変なことになりそうだ、とおしえているのではないでしょうか。ところが現実は、わが国の職人は冷遇されています。

 日本はいつも、円高となり、輸出しにくくなったと言ってなげきます。逆に、レアーアースが好例ですが、輸入が難しくなったといって嘆いています。幾度も繰り返して指摘してきたことですが、わが国はあればあったに越したことがない代物を輸出し、その代金で輸入できなければ大変なことになる代物を輸入しています。その典型例は、1に食料、2にエネルギーでしょう。

 ここらあたりで、末裔が穏やかに生きられる基盤を、国の形を整えておくべきではないでしょうか。にもかかわらず,まったく逆の道、国の借金を積みます方向に走っています。