人生相談
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この度の相手は、友人の跡取り息子夫婦でした。結婚披露宴に呼ばれて以来の再開でしたが、二人とも給与所得者として幸せそうに生きています。しかし、家業を引き継がなければいけない時期がきた、と気づいたようです。 私はライフスタイルコンサルタントを自称していますが、その範疇に人生相談も含めています。とはいえ私の場合は、企業から相談を受けた場合と同様に、どのような社会が、つまり未来が待ち受けているのかを説明することを最も大切にしています。その上で、未来の方から微笑みかけてくるであろう道筋を見定め、ポンと背中を押したいのです。もちろん個人の場合も、企業など組織の場合と同様に、それぞれが抱えている、あるいは抱え込んでいる様々な条件を勘案し、個人の場合なら資質や立場などを勘案し、踏み出すべき、あるいは踏み出すことができる方向を見定めあうようにしています。 最大の課題は、あるいは問題は、どのような未来が待ち受けているのかを見間違ってはならな、といことです。誰しも、未来は現在の延長線上にあると願いがちですが、私の場合は「現在の延長線上に未来はない」と見てきたことです。ですから、未来の見方が根本的に異なりますと、話がトントンとはまないことが多々あるのです。トントンと進まないどころか、嫌な気分にさせてしまうことが多々ありました。 もちろん私も、相談を受けた相手の願望を満たせたいとの誘惑に駆られ勝ちです。つまり相手の「願望の未来」をより夢見心地になれるように膨らませたくなるのですが、その誘惑には負けないようにしています。それは相手のあらぬ夢を食い物にしているかのような気分にされてしまうからです。 そうした場合には、往々にして誤解が生じがちですから、その時々に私が見ていた未来を文章に書き留めておくことにしました。まず勤め先の社長がバブルに酔い始めたときに、なぜ2度も3度にもわたって社長に逆らったのかを明らかにしておきたくなり、1986年の暮れに辞職して一書にまとはじめ、1988年の初夏に出版にこぎつけています。 |