自然の摂理!
 

 コノハズクの子どもを集団で襲うカラスの執拗さに戦慄を覚えました。当週記(2011,2,20)で、食物連鎖と弱肉強食について触れたことがあります。その伝で言えば、食物連鎖として心の整理をしようと思ったのです。ところが半時間ほど後に、これは弱肉強食でなないか、との怒りがこみ上げるような情景を目にすることになります。

 ほぼ花を咲き終えた冬野菜を抜いて一輪車に積み込み、堆肥の山に運んでいくと、すぐそばから大きな茶褐色の鳥が飛び立ちました。カラスではありません。間髪を入れず、激しい羽音をたてて、3羽のカラスが飛び立ち、その跡を追いました。おそらく、私が近づいたのでカラスがひるみ、そのすきを見て襲われていた大きさの茶褐色の鳥が逃げたのでしょう。カラスより大きく見えました。

 この情景を見ていた妻が「フクロウさんの子どもじゃない」と叫びました。その鳥は50mほど先?と思われるところで追いつかれたようで、また一騒ぎが生じていました。もしコノハズクの子とすれば、親の助けを求めて鳴き叫んでいたのでしょうが、コノハズクの目には明るすぎて、救いたくても眩しくて飛び立てなかったのではないか、と思います。

 心穏やかでない私は、「これも自然の摂理。食物連鎖の一環だ」といって、心配顔の妻の心も一緒に鎮めようとしたのです。そして、畝作りを再開しています。

 いつの間にか妻が居なくなっていましたが、「フクロウさんの子を助けようと思って」探しに行っていたそうです。その時ではすでに遅しであったのでしょう。カラスの集団にトドメを刺されていたようで、足がかりを見いだせなかったとか。

 藩時間ほど後に、同じ方角から先ほどと同じ成鳥並の大きさの茶褐色の鳥が飛び出してきました。今度はありありとその顔が見えました。コノハズクです。先ほどと違って、集団で追うカラスは30~40mほど遅れていました。

 きっとわが家の庭で、2羽のコノハズクの子が夜が来るのを待って潜んでいたのだ、と私は感じました。そうと知ったカラスは、夜行性のコノハズクの目が昼間はきかないとのをいいことに、1羽ずつ順に襲ったのではないでしょうか。

 その後、先ほどのような騒ぎ声は聞こえてきませんでした。それほど遠くまで飛んでいった先で捕まったのか、あるいは逃げおせたのかも知れません。やがて日が傾き、薄暗くなりました。そうなるとカラスは家路を急ぎます。

 7時頃になってから、異なる方角の遠方から「ホホー、ホホー」と2羽のコノハズクの鳴き声が聞こえてきましたが、親鳥か子どもか、聞き分けられませんでした。アメリカの大統領のように、今度は逆にカラスの縄張りに侵入し、カラスをやっつければ良いのに、と思いながら私は苦笑しました。アメリカ国民は、この時の私並みのたわいないオツム(?)あるいは感情(?)になっていたのではないか、と思ったからです。

 
2009年に三崎さんが撮影されたコノハズクの子ども。巣立ち直前のころ(?)。このいずれかの子どもがこのたびカラスに襲われたのでしょう
1907年に、三崎さんが撮影に成功されたコノズクの子ども、巣立ち前後