常寂光寺の梵鐘
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毎日欠かさず2度打たれます。12時に9ツ。5時の6ツ。加えて、年に3度、特別につかれます。原爆が炸裂した時刻の各10。そして108ツの除夜の鐘。この108ツは、最初の1ツを住職がついたあと、かつては近隣住民を中心に、鐘楼の周辺に集ってきた人が幾つかずつついて新年の挨拶を交わしあい、ご褒美のぜんざいを味わいました。やがて、1人1回の先着順番号札が配られはじめ、わが家で出かけなくなりました。 大晦日は、常寂光寺だけでなく、近隣のあらゆる寺がつくようで、近年は風呂につかりながら、観光行事のようになった多様な音色とリズムを楽しんでいます。 まだ、近所の人が新年の挨拶を交わす場にしていた頃に、「30年ぶりかなあ」と挨拶し合った人がいます。学生時代の下校時に、時々立ち寄った園芸店で、いつしか親しくなった人でした。その時から、その人は、私にとっては園芸の師匠のごとくになり、誕生したばかりのアイトワに立ち寄ってもらえるようになりました。その人は過日、唐突に、天に先立ってしまいました。学んでおきたいことが多々ある人でした。 原爆が炸裂した時刻に打たれる鐘の音は、かつてはあちらこちらから聞こえていましたが、除夜の鐘とちがい、いつのまにかつく寺が他になくなったようです。それだけに、常寂光寺の鐘の音に、なぜか毅然たるココロにされるような気分にされています。 |