わが家流の畝の仕立て直し
 

 かつて家庭用耕運機を買い求めましたが、幾つかの理由からほどなく廃棄しています。先ず気付かされたことは、「カタバミ、ヒルガオ、あるいはドクダミなどの繁殖を手伝っているようなものだ」ということでした。カタバミの球根の塊を崩してばらまいたり、ヒルガオやドクダミの根を切り刻んでばらまいたりして繁殖させていたことに気付かされたのです。

 この弊害を手っ取り早く取り除こうとすると、除草剤の使用に結びつきかねません。だがそれは「悪循環の始まりだ」と思いました。除草剤は、土中に棲んでいるミミズやバクテリアを殺してしまい、有機肥料を無機肥料に分解できなくしてしまいます。そうなると、無機肥料しか吸収できない農作物のために化学肥料を用いざるをえず、それが見かけは良くても栄養価や味の劣る作物にしてしまうからです。

 それだけでは済まない、と思いました。とどのつまりはカラダだけでなく「ココロまで荒廃させかねない」と感じたのです。農地は人間の食べ物を作るためにあるわけではありません。キリギリス、ムカデ、あるいはイタチなどの野生動物も養っているところです。イタチガいなくなればネズミが、ムカデがいなくなればゴキブリが、と悪循環の始まりだし、キリギリスがいなくなれば夏場の虫の音を楽しむ情緒を見失わせます。

 そんなこんなで家庭用耕運機を捨て、路地植えの有機栽培に専心することにしました。結果、鍬やスコップなどの道具だけ用いる農法に戻ったわけです。もちろん能率はとても下がってしまいます。そこで、その能率を少しでも上げる合理的な方法はないものか、と思案した結果、より能率を下げさせかねなく見える方法の採用でした。

 今週に例をひろえば、これまでネギを抜き取らずに残していた畝の仕立て直しがあります。自然生えしたエゴマなどの他に、さまざまな野草も生えていましたが、いつものとおりに面倒くさがらず、それぞれを峻別して丁寧に取り扱っています。

 右の写真で言えば、時計回りで12時の位置にあるゲンノショウコ、3時のスミレ、次いでカラスビシャク、イヌガラシ、そしてカタバミと続きますが、いずれも神経を集中して掘り出しました。ゲンノショウコとスミレは移植し、前者は育てて入浴剤に用います。残る3種は、出来れば畑から絶やしたい野草ですから、抜き取って薮に捨てました。もっとも神経を払ったのはカタバミです。球根の塊をバラバラにしたら拾い集めるのが大変だし、1つでも残したら来年は写真と同じような球根の塊にしてしまいます。

 これらの他の2〜3の草は、種を結ぶ前なら少々手荒に扱っても(増殖させていたようなことになる)禍根を残しませんから、手早く抜き取ってマルチング材として用いました。ツユクサのようにマルチング材として用いると、枯れずに発根しかねない草は竹やぶに捨てました。右の写真は、耕し終えた後の様子ですが、畝の終わり(奥のほう)に自然生えしたハナオクラとマルバアイは残しています。次年度の種を落とさせるためです。

 この農法だと、年を追うごとに畑に不適切な野草の数や種類が少なくなり、能率は上がってゆきます。し、何よりも栄養価に優れていて、おいしくて安全な野菜が育てられることを知りました。

 このたび、まだ小さな自然薯を1本の畝で掘り出しました。残しておけばイノシシに襲われかねませんから捨て去ることにしました。中央の写真のごとくたくさんの野草が生えていました。
 

ネギを抜き取らずに残していた畝

カラスビシャク、イヌガラシ、そしてカタバミと続きます

耕し終えた後の様子