年賀状of The year
 

 「楽しい」と思った文章は、商社時代の同期生から届いた年賀に添付されていた意見。この男は「この商社には収まりきれないのではないか」と見ていた1人ですが、本当にやめてしまい、アメリカでのびのびした生き方をしています。

 「楽しい」と、しばし手をとめた数葉のハガキ。最年少者の絵には、活き活きとした無心のココロを感じ取っただけではなく、言い知れぬバランスの良さを感じました。もちろん「絵を描き続けましょう」との返事をしたためました。



 

商社時代の同期生から届いた年賀に添付されていた意見

  2012年度世相比較学会年頭報告       2012年1月吉日

                                                               謹賀新年

昨年は、大規模「災害」が世界で多発した異常な年でした。特に、東日本大震災、ニュージーランド地震、オーストラリア,タイ、フィリピンの大洪水等、太平洋地帯に集中した天災と、福島原発事故とユーロ圏を襲った人災は、明るい話題を全て吹っ飛ばす程の衝撃でした。

一方、あれだけの大災害にも拘らず、略奪もなく礼儀正しさを失わなかった日本人と日本文化が海外から賞賛を浴びた事は、日本の新しい財産を見つけた観があります。

当学会としても、この異常な年に学んだ事を幾つか取り上げて見ます。

(1)脱帽するのは、「床屋」だけの時代 :

昨年の天災と人災は、何処の国でも政治家や評論家が全く役に立たない事が国際的に証明されました。かって、政治家や評論家の資質は何かと聞かれたチャーチルは「予測する能力だ。明日どうなるか。1ヵ月後にどうなっているか。1年後に何が起きるか。それらを予測する能力、と同時に、予測がはずれた場合に、それを上手く言い訳できる能力が必要だ」と喝破したそうです。流石チャーチルです。

先生方の劣化が酷くて「必ず脱帽しなければならない相手」は「床屋さん」位の時代になったと言う事です。

(2)幸福と成功を考え直す :

昨年は又、世界の「幸福度調査」で常に上位にランクされているブータンの国王夫妻がわが国を訪れ、話題を集めました。発展途上国のブータンが、世界に冠たる先進国の日本を幸福度で常に上回っているのは何故か?これに答えるのに専門家は要りません。

「望んだものが首尾よく手に入ったとき、人はそれを成功と言う。では幸福とは?手に入りそうなものだけを望んで満足する状態のことである。」と言う世界のジョーク集の回答が正解でしょう。日本の赤字解消にも役立ちそうな教えです。

日本でも成功ばかりでなく、大切な物が何かを教えるべき時代です。

(3)日本を襲う「一般的危機」 :

日本の老齢化は益々進み、誕生祝のケーキ代より、ローソク代の方が高くつき、ローソクの火を吹き消すのに、息が切れる年代が急速に増えています。少子老齢化は社会保障のあり方と言う難問も突きつけていますが、その解決策は、下の例に挙げた様な数字のマジックに頼るしかなさそうです。:

「ある酪農家がその死に際して、三人の息子に十七頭の乳牛の内、長男には半分、次男には三分の一、末っ子には九分の一相続させる事を指示した。処が、指示通りには割り切れない問題が生じた。三人が喧嘩を始めたのを見かねた叔父が、自分の乳牛を一頭提供する事にした。十八頭になればすっきり割り切れる。長男が十八頭の二分の一、つまり九頭を受けとり、次男は三分の一だから六頭、末っ子は九分の一の二頭を受け取った。整理すると、九頭+六頭+二頭、合計十七頭と言う事になった。叔父は嬉しそうに自分の乳牛を引き連れて自宅に帰った」何かのヒントになれば幸いです。

(4)巨額すぎてピント来ない単位を,判り易く説明すると :

日本には巨大な公的債務問題が前面に立ちはだかります。これは、誠に深刻な「日本の一般的な危機」の到来です。

10億を越える数は大きすぎてピント来ませんが「10億秒前とは1959年。10億分前には.イエス様はまだ御存命中。10億時間前には、我々の先祖はまだ穴居生活をしていた」と言い換えると、1,000兆円を越える公的債務の大きさが実感できると思います。

さて、日本の政府が10億円を支出するのに何時間かかるでしょうか?これが、我々が取り組まねばならない「一般的危機」の課題です。

(5) ビジン言語がはびこって良いものだろうか?

昨今の日本では、言語が発達していなかった旧植民地などで使われたビジン言語(ピジョンイングリッシュ)が、やたらに流行っています。英語と日本語を勝手に混ぜ合わせて「Fusion」と言い変え、クール と思う日本の世相は何とかならないものでしょうか?

いい年をした大学出のNHKのアナウンサーが、真顔で日英ごちゃ混ぜのビジン言語を使い「イナイ、イナイ、バー」の様な馬鹿げたジェスチャーを入れて出演している姿は、「馬鹿もいい加減にせい」と怒鳴りたくなります。公共放送のアナウンサーに、「Me(私)、中国人あるね。」と言う類のビジン言語を許す国が何処にあるでしょう?KY語がやっと消えた今日、今度はビジン語を流布するNHKの再編が必要かもしれません。

                    世相比較学会会長 北村隆司

 


 


最年少者の絵