社会を映し出す鏡
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元医者のチェ・ゲバラは、人間を「暴力的に縛る鎖」から解放する運動に踏み出したわけですが、海堂尊さんは、より難しい課題、つまり人間を「精神的に縛る鎖」から解放する運動に踏み出した人ではないか、とまず感じました。 チェ・ゲバラは外国人でありながら、キューバの圧政を、その影にいるアメリカの専横を許せなかったのでしょう。考えられない苦労が伴った航海と上陸の様子から番組は始まったようなものです。次いで、チェ・ゲバラはカストロと共に、300人の仲間で6000人の政府軍を破って本格的緒戦に成功し、次第に仲間を増やし、ついには10倍以上の政府軍を敗北に追いやり、革命に成功したようです。 問題はむしろその後です。革命者の中には、庶民の不満を結集して、圧政者の立場を横取りしたり、より息苦しい圧政を敷いたりしかねないドロボウのような人がまま見受けられます。この2人はそうではなさそうだ、と私の目には見えました。 それは紹介された医療改革からそれを読み取りました。ホームドクターシステムを敷き、治療にではなく重点を予防に移していました。それはNZで見たシステムと似ています。これは元医者であった海堂尊さんが憧れていたシステムではないでしょうか。 海堂さんは、元医者として、システムさえ良くすれば、すべての日本の医者もキューバの医者のようになるだろう、と言いたかったようです。その気持ちが、医者は「社会を映し出す鏡」、「取り巻く環境を映し出す」と言わせたようです。 ならば社会はどうあるべきか。社会を構成する個人は、患者としていかにあるべきか。などと考えさせられた次第です。 |
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