2人のレポート
 

滋賀県立大学 環境科学部 生物資源管理学科 1114047 平野智子

 私は、京都市の嵐山の付近にある“アイトワ”というところに11月13日訪問し、森孝之さんにお会いした。

 森さんは、小さいときに今の住んでいるところに疎開で移り住んだ。大学を出て会社に勤めるようになってからは、平日は会社、土日は庭の手入れをしていたそうだ。幼いころから、花を植えたりしていたが、大人になるにつれ、自分で苗や種などを手に入れて木を植えだし今のような素敵な庭ができたそうだ。森さんのお宅では、自分が生活していて出てくる、生ごみやし尿など有機物は、すべて自分たちの手で処理されていた。庭には、とってもたくさんの種類の植物、農作物がたくさんあった。場所が嵯峨野であるためか、観光客の方もたくさん道を歩いておられ、観光客の方は写真などを撮られていた。冬の時期や薪風呂などに使う薪は、自分たちの手で育てた木で作っておられた。電気も、ソーラーパネルを関西では一番先に設置して、太陽光によって電気を手に入れていれられていた。森さんが言うには、電気・ガス・水道が止まっても、生きていくことはできる生活をされているそうだ。

 なぜこのように、すべて自分たちの力で生きていけそうな生活をされているか。それは商社に就職されいろいろ経験していく中で、その必要性に気が付かれたそうだ。そのころは工業社会が軌道に乗り、高度経済成長時代だったそうだが、やがて工業社会は破綻する、だから工業国は次の社会を創出して移行しなければいけなくなる、と思われたそうだ。しかし誰もこの考え方に耳を貸してもらえず、やむなく自分たち家族だけでも次の社会の生き方を創出し、移行しよう、と思われたそうだ。それは今のような化石資源に依存する生き方ではなく、化石資源の元でもある太陽の恵みと、それぞれの土地柄を上手に活かす生き方であると考え、今のような生活に一歩一歩近づけていったそうだ。

 “人の後ろについていって周りの自然を破壊するこれまでのような生き方をするのではなく、しっかりした自分の考えで行動することが大切。一時期は周囲の人から、不満や不信の声などを聴くかもしれないが、いずれは「未来の方から微笑みかけてくるに違いない」と思える生き方を考え出し、実践することが大切”、このようなことを森さんは会話の中で言われたのを今でも覚えている。森さんの今の生活は周囲の方からだけではく、たくさんの方からすでに尊敬され始めている。

 このような生活をするのは並大抵のことではない。植物の手入れなども私から見たら、とても大変なことだと思った。そのことについて森さんにお聞きしたところ、“子供を育てるのと同じ感覚だ”とおっしゃった。木の剪定など自分自身でされておられとても愛情をこめて手入れをされていた。今後は、今の「自分のような生活をしたいと思うような人などを育てていくような活動をしたいな」と思っておられる。最後に森さんは「高いお給料をもらうことにやっきになるのが大切ではない。お金がなくても豊かに暮らせる。自分たちの力で豊かに暮らせるように工夫や努力をするほうがいい。今は不便そうに見えるかも知れないが、今後は絶対にこのような暮らしが1番豊かな暮らしとなる」とおっしゃった。

 アイトワではさまざまな体験をさせて頂いた。まず、家庭から出た貝殻を、トンカチで粉々にした。このようにして、貝殻もゴミとして出さずに自分たちで処理をすると畑にまく立派な肥料として使うことができる。ここでは家庭から出るゴミをなるべく出さないようにいろいろ工夫して処理・利用をされている。また、庭に大きくとても深い穴があったのだが、そこには燃えにくい有機物と割れた植木鉢などを放り込み、いっぱいになると埋める穴で、いずれよく肥えた土になる。とても大きい穴で本当に驚いた。森さんの庭には畑だけではなく様々な木もあった。最近の世の中では家の周りを囲む塀はコンクリートとなってしまっているが、森さんのところでは塀は生垣となっていた。生垣のほかにもたくさんの木があったのだが、これらの木はしっかりと剪定をしなければならない。私たちが訪問した日にちょうど剪定されていたのでお手伝いをした。もちろん私たちが木を切るわけにはいかないので森さんが剪定をし、その切られた木を私たちが運ぶという作業をした。たくさんの切られた木を運び、最初はあまりなかった場所がすぐに木の山となった。これらの木で最後にたき火をした。たき火と聞くと煙たくてあまりいいものではないと正直思っていた。しかし、煙は想像していたのとは違い、線香のような香りがして、とても気持ち良く、とてもいい香りだった。最近では煙というと少し距離をおいてしまうが、森さんによれば、木や草を燃やすたき火から出る煙は、体によく、むしろ吸ったほうがいいそうだ。人間は50万年ほど前から火を使うようになり、50年ほど前まで煙を吸い続けてきた。

 3月にとても大きな地震があったが、そのようなときに吸ってもよい煙か、悪い煙かを嗅ぎ分けられ力を身につけられるようになるのが1番いい、とおっしゃっていた。たき火をする前に落ち葉ひろいをした。たくさんの木を育てておられたので落ち葉の量も多かった。この落ち葉をサラエやブロワーを使ってかき集めた。そこには、栗や栗のイガ、ドングリなどもあった。かき集めた落ち葉は、堆肥小屋に集め、腐葉土にされていた。堆肥小屋には既にたくさんの落ち葉が積まれており、底のほうはすでに腐り粉々になっていた。そして、なんと、そこには大きなカブトムシの幼虫もいた。腐ってどんどん土になっていったのを畑など肥料として使用していくそうだ。この小屋は、2つに仕切られており、毎年交互で落ち葉をため、その腐葉土を使っていくそうだ。落ち葉が覆っていたので最初は気づかなかったが、落ち葉を拾っていくことにより、落ち葉の下にあったとてもきれいな緑色をした苔が見えた。落ち葉を集め終わったころには汗ビッショリになっていたしあたりは薄暗くなっていたが、とても緑あふれていて気持ちよかった。

 アイトワでは、いろいろなことをたくさん学んだ。最近の人、私もだが、人に言われないと行動できなかったりする。自分の考え、思いではなかなか行動できないと思う。森さんのように、自分の考え、思いで行動できるのは、とてもすごいなと思った。すごいなと思うだけではなく、何か自分から行動できるようになりたいと思った。また、今回いろいろな体験をさせていただいたが、それを通じて、自然との共存する大切さを少し感じることができた。自分たちの生活から出ているものをできる限り自分たちの手で処理し、それをうまく利用して生活することはとても素晴らしいことだなと思った。私自身の今の生活では森さんのようなすべての廃棄物を自分の手で処理したりすることは無理だと思うが、なるべく廃棄物となるものを出さないようにすることはできる。とても小さなことだと思うが、私に今できることをやろうと思う。また、処理するだけでなく、ほぼすべての生活に必要なものを自分の手で作ったりしていることもとてもすごいなと思った。このようにうまく自然とうまく共存できるようになるまではとても時間、苦労などがあったと思うが、今の世の中、食糧危機など言われているが、このように自給自足生活をしていると、いざ、という時にしっかりと自分の力で生きていくことができると思う。人に頼っている生活ではなく、自分で行動することは本当に大切だなと思った。今回の訪問で、森さんの生活のほんの1部だが、見て、体験し、改めて考え直すようなことがたくさんあった。森さんの生活だけでなく、人としてもたくさんのことを学べ、とても尊敬できる方だと思う。今回学んだことは、必ず今後、役に立つことばかりだったと思う。また、アイトワに行く機会があったらぜひ行き、もう一度お会いしたいと思った。
 

地域探究学レポート

環境科学部 生物資源管理学科 1114057 森崎祐希

訪問先 
京都嵯峨嵐山アイトワ 森孝之さん

訪問日時 
平成23年11月13日

活動内容

自己紹介
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森さんの体験談、経験談、そしてエコな暮らしへのこだわりを聞かせてもらう。 
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落ち葉集め等の作業
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会話を交えた昼食
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落ち葉集め等の作業
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たき火、


訪問した感想

 森孝之さんのアイトワに訪問させて頂いて一番印象に残ったことは、エコロジーな生活をする上での自給的な生活がどれほど大変かということです。さらに驚いたことは自分たちにとっては一日作業するだけで音を上げてしまうような落ち葉集め、枝切りそして集めたものをまとめる作業を森さんは毎日のようにやられているということです。特に落ち葉集めは集めた落ち葉を一ヶ所にまとめて腐葉土にするため坂道の上り下りを繰り返さなければならないのでとても疲れてしまった。また煙についても有害物質の含まれた悪い煙と日常的に一定量吸い込んだほうが体にとって良い、木を燃やしたときに発生する良い煙があることを学んだ。良い煙はお線香のようなほんのりと甘い感じの匂いがして好かった。

 そして森さんが経験されてきた戦時中のことからこれからやっていこうと考えていらっしゃる未来のことまでのたくさんのお話を聞いて、これほどまでに自分たちとは違う生活様式で生活をしている人がいることに驚いた。生ごみはもちろん糞尿まで自力で処理して肥料にされていてすごいと思った。今後世界の人口が増えて食糧危機が起こってもこういう生活を行っていれば対処することも出来ると教わり、とても農業に興味が出た。
この訪問を通して農業の大切さと地球にやさしい生活をすることの大切さを再認識できたと思うしとても勉強になった。