「廃木の堆肥場」
 

 
 アイトワには主な堆肥場が7箇所あり、役割が異なります。その1つがこの廃木の堆肥場です。薪にせずに、自然に任せて樹木を腐らせるにために設けたもので、クワガタムシの繁殖場になっているのではないでしょうか。

 それは20年ほど前から、立ち枯れた木や間伐材の量が、薪として必要とする量をはるかに超えるようになり、設けました。その後、その西側に一輪車が1台通るだけの間隔をあけて野小屋を建てました。やがて、積み上げた廃木を隠すために、タケを横に積み上げて一種の垣を作っています。野小屋を鋤焼きの場に見立てたかったからです。

 この竹の垣は、廃木が増えるにしたがって高く積み上げるようになり、下部のタケから順に枯れ、やがては朽ちますが、その前に抜き取って割り、薪風呂の焚付にすることがあります。雨ざらしの下でタケを枯らして乾燥させると、火付きがよくて油ッ気が抜けた焚付になり、軟らかい火を提供します。残った分は、廃木とともにいずれ堆肥になります。

 このたびは、これまでの「廃木の堆肥場」の跡に、新しい薪小屋を作ることにしたわけです。この薪小屋が加わることによって、薪の備蓄場所が6箇所になる勘定です。これまでの5箇所で、3年分ほどの備蓄をしていますが、もう1年分増えそうです。もちろん、このたびの備蓄場にはこれまでとは別の役割も与えます。それは、太い玉切りを備蓄し、適宜取り出して割れるようにすることで、それがために、囲炉裏場の近くを選びました。

 もちろんもう一つの狙いがあります。それは「腐葉土の山」の目隠しです。「腐葉土の山」は(7箇所の堆肥場の1つであり、生ゴミの処理場ですが、は)周回路に沿った竹やぶの中にありましたから、竹が目隠しになっていました。それが丸裸になったからです。

 つまり、新しい「廃木の堆肥場」は、東を向いていたこれまでの「廃木の堆肥場」を90度回転させ、南向けにした位置に移動させたわけです。この移動させた跡が新しい薪置き場になりますが、これは生ゴミ処理場でもある腐葉土の山を野小屋から見えなくする役割も果たさせます。要は、すき焼き場にもなる野小屋と周回路の側にありながら、生ゴミ処理場の匂いがしないことに気づいてもらうための「意外性」を演出する工夫でもあるわけです。

 それはともかく、20年近くにわたって貯めてきた廃木を、このたびあらわにしたわけですが、「意外なほど樹木は腐食しにくいものだ」と知りました。また、「なんと勿体無いことをしていたことか」と驚かされました。当時は薪にする時間を欠いていたわけです。

 ちなみに、残る5箇所の堆肥場は次の通りです。母屋の内庭にある「腐葉土小屋」。居宅の裏庭にある樹木の剪定くずを野積みにする場。檜林の北西角にある檜と杉の落枝の野積場。野小屋の西側にあるクリの落ち葉やイガの野積場。そして主たるタケ藪にもうけている除草の野積場で、これは竹やぶの堆肥になります。

 これらは自然循環型生活にとって、とても大切ないわば装置の数々です

 

南向けにした位置に移動させた

すき焼き場にもなる野小屋と周回路の側にあり

檜林の北西角にある檜と杉の落枝の野積場