初めて体験すること
 

 師匠は、電灯の灯りが射す位置に巣箱を据えていたことを前もって気づいていなかったことを反省され、私は恐縮です。また、煙がミツバチに及ぼす影響についても未経験とのことでした。つまり、煙と夜分の光とミツバチの関係について、師匠も初体験であり、これを機によき経験として今後に活かそう、との考えで合意しました。

 何故かこの時に、私はこの庭の値打ちが、「庭宇宙」との勝手な思いを持って見つめてきたこの庭の価値が、一段と増したように感じました。

 師匠によれば、ニホンミツバチは捕獲できても、3分の1ほどしか定着せず、後はさまざまな理由で逃げられてしまうようです。その理由に、光や煙との関係が配慮の対象として浮かび上がり、対策を講じるうえで役立つことができたら、と思うと嬉しくなります。

 ちょうど今、さまざまな野草に混じって、庭ではタビラコ(ホトケノザ)も花を咲かせています。どうやら「春の七草」はすべて、改良種のスズナとスズシロを除いてすべてを、庭で調達できるようになったようです。ここに、糖分だけでなく蝋も自給できそうになったわけですから、庭宇宙度が一段高まったことになりそうです。