ケンの床ずれの薬
 

 なぜか口の左際に「あくち」ができて、治りません。3月と5月の海外旅行でも食べ物には注意しており、体重も65kg前後で維持しています。その後、治りかけたと思うと歯医者で傷口を引き裂かれ、ついに数ヶ月来になりました。

 「その薬は残しておいて、これを使えば」「よく効きますよ」と妻が差し出したのが「動物用」と大書きしたAHYPクリーム。

 「ケンの尻に塗った薬だろう」

 「違います。腰です」。ケンの床ずれに塗った薬が、ほとんどそのまま残っていたのです。

 「動物用だろう」

 「孝之さんも動物でしょう」

 お話になりません。しかし、考えてみれば、人間用の薬は、動物実験で間違いなく効果があったから用いているのでしょう。また、いつどこで「あくち」ができるかわかりません。過日国内出張先でもらった新品の薬は、旅行携帯用にとっておき、ケンの使い古しを用いるか、となりました。

 実は過日、出張先で見かねた人が塗って下さった薬があったのです。翌日には治っていました。運悪く、その翌日が歯医者でした。もちろん歯医者も、歯の治療後に薬を塗ってくれますが、それ以上に出張先で塗ってもらった薬は効いたのです。しかも、新品を1つもらったのです。それを用いようとクチを切ろうとする私を見て、妻はケンの床ずれに塗った薬を使わせたのです。ケンには見事に効いたようです。