洗濯をさせられるハメ
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妻が列車に乗り込んだ頃、と思うまもなく電話がありました。「ケンを涼しいところに出してやってください」「忘れていました」との注文です。 ケンのお尻を吊り上げ、首輪を操作して風除室から出そうとしたときのことです。小便をたれ始めました。靴下が生暖かくなったので気づいたのです。相当量貯めていたので頭を撫ぜ、褒めました。マットの上で失禁し、寝そべられていたら大変でした。 終日木陰になる旧玄関前に結わえたうえで、ワークルームの流し場で靴下を洗い終え、ケンに飲み水を運びました。見るとウンチをしていました。しっかりしたウンチです。そのケンのウンチを取りながら「まだましだ」と思いました。亡き母の人工肛門の排泄物の匂いを思い出したのです。妻が始末をした直後に母を見舞い、閉口した時の思い出です。「あれを毎日、妻はしていたわけだ」と思うと、ケンが可愛くなりました。私と似て、しっかりした腸の持ち主のようだ、と考えたからでしょう。 同時に、イヌを「もう1匹飼うためにも」元気を保たなくてはならんナ、と汗を拭いながら考えました。なぜか、そのためにも、冷房機がない居宅で頑張らなくては、それが健康の秘訣かも、と考えています。確かに、夏の昼間は灼熱の地獄です。昼食を準備するために工房や喫茶室から戻ってきた妻が「大丈夫」とか、「水分を十分にとってください」とよく声をかけます。冬は冬で、屋内で吐く息が白くなります。 「それを楽しんでいる」といえばウソになります。「辛抱しているのか」と問われたら「いいえ」とキッパリ応えます。「ケチだろう」と問われたら、「そうかもしれない」と素直に応じるはずです。「健康のためか」と問われたら、チョット考えます。間違いなく健康に役立っている、と思いますが、それは今だから言える結果論です。 実は、私は見掛け倒しで、臓器という臓器は、腸をのぞいてガタガタです。多くの医者から「50歳代後半まで持てば上出来」とよく脅されてきました。それがここまで持ったのは、人工的な気温制御をなるべく避けようとしてきたおかげもありそうです。 とりわけ灼熱の日々のもとでの発汗が有効ではなかったか、と思います。私が終日使ったタオルは、漂白して用いるか、さもなければ雑巾に、妻はします。それほど汚れるのです。ドス暗くなるのはまだしも、異常な臭さに、われながら閉口です。きっと重金属など体に溜まっている毒物を相当量排出しているのではないでしょうか。もし私が、ガンに苛まなければ、この毒物排出がおおいに関係していそう、と歌いあげたくなるほどです。間違いなく、そう思うほどの発汗を楽しんでいます。 ところで、妻は週末にハッピーのブラッシングをしてやっています。木陰に住まわせていますが、あまりにも暑苦しそうに見えたようです。その点、アタマの良さと、度胸の良さは他の2匹の比ではない金太は、手のかからないイヌです。 たわいのない1週間でした。 |
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