リズさんから帰米後の続報
 

 リズさんは、36年前にわが家で約1年にわたってホームステイしています。その生活を彼女は持続可能な生き方とみて、日本人准教授(東大理Tで学んだ)と組んで日米交換学生プログラムを立案し、国際交流基金を得て、やってきました。それだけに、私は36年間の空白に少し不安を感じていました。

 彼女はかなり厳格な人です。そうとは知らずに迎え入れましたが、父はアリストテレス研究者で、大学教員で、学長を務めていました。その両親も迎えたことがありましたが、滞日中に買い求めた品々や、帰国後にメイン州の自宅にこしらえた風呂を見て、感動したり安堵したりしたことを覚えています。日本流の「座って首までつかる風呂」を作ったり、部屋ごとに暖房する石油ストーブを買い求めて帰ったりしていました。

 その当時に描いてもらったわが家のありようと、今日のわが家のありようの間に乖離はないか、私にはわかり得ません。ただし、変えていないことは断言できます。それはこの生き方を貫いている「想い」です。その想いを講義の形式で紐解きましたが、36年前のリズさんの体験した印象と矛盾はないか、少し心配でした。その心配は杞憂でした。むしろ、理解をより深めてもらえたようです。この日本人の1つの生き方を引率したアメリカの学生に見せ、体験さることができたことを喜んでもらえたようです