よく鳴きます
 

 散歩もできなくなったケンはほとんどの時間をスヤスヤと寝て過ごしています●。例外は、妻に抱かれて風除室に運び出され、排便とオシメをつけてもらう時間、水を飲む時、そして食事の時間などで、この他は鳴いている時です。問題は、この鳴いている時間が増えただけでなく、鳴き声からは何を願って鳴いているのか妻にも計り知れない場合が多いことです。これまでのように、黙ったままうつらうつらする時間が減り、うつらうつらしながら鳴き声を発しますから困らされます。

 「ウンチがしたかったようです」などと、鳴いた理由が分かりえたときは妻は褒めます。しかし、近ごろは水を与えても、食べ物を与えても、飲んだり食べたりした後で、すぐさま鳴き始めることが多くなり、困らされています。

 ですから、妻より先に(6時ごろに〉起き出す私は大変です。洗面の後、毎朝パンツ1枚でケンがいる居間に移動しますが、その鳴き声に付き合わされるからです。これまでとちがって、水を与えても、飲み終えるとすぐに鳴き始めるのです。ガスストーブの点火、パソコンの立ち上げ、そして着衣の、どの間でケンに水を与えればよいのか、うろうろさせられます。室温はまだ、7度の日もあります。

 過日書生にケンの墓穴を掘り足してもらいましたが、そのころから健康状態が一段とよくなり、張りが増した鳴き声で、首をもたげて叫びますから、困ります。妻を目覚めさせはしないかと、気が気ではありません。

 どうやら、原因は妻にある、と思い始めています。妻の甘やかせ過ぎにあるようです。毛の間の汚れを使い古した歯ブラシで拭ったり、指の間をタオルで拭ったりしていますが、その間は終始、妻は何事かをブツブツとケンに語り掛けています。その間のケンは、収支おとなしくしており、気分がよくなると眠ってしまいます。

 

首をもたげて叫びます

毛の間の汚れを使い古した歯ブラシで拭った