身予防美学の川上さんを迎え
 

 川上文子さんのお母さんは、長崎県のとある島で住まい、自給率の高い自力本願の生活を維持しておられます。そこで自ら育てられた野菜を、文子さんを経て幾度かいただき、賞味しましたが、それぞれが野菜本来の味と力を持っていました。

 余談ですが、過日京都近郊で育てられ、むくむく育ったホウレンソウをたくさんもらい、幾人かで分け合い、わが家でもホウレンソウ鍋やおひたしなどにして食べました。有機栽培野菜として高級料亭を得意先とするホウレンソウでしたが、ビックリしました。クセがないといえばいいのかもしれませんが、個性がないのです。目を閉じて生のまま食べてみたところ、ホウレンソウとはわからなかった。その点、文子さんのお母さんの野菜は個性にあふれています。

 文子さんは、人間も自然の一部、との認識の持ち主です。自然との共生を尊重し、自然の恵みを受けて生きている「いきもの」との自覚を大切にしています。ですから、自分の体には責任を持ち、治療にではなく予防を第一にして、「身体」「こころ」そして「食事」の健全なバランスに配慮した生き方を提唱されています。つまり、自力本願の人生の提唱者と見ています。

 世の中には、こうした教室は多々ありますが、大きく2つに大別できそうです。それはリサイクルなどの環境対策でも言えることです。工業社会の延命策としての対策と、次代に備えた対策の2通りです。私は、前者は問題をより複雑にして先送りするだけに終わりそう、と見ています。第一、それは罪滅ぼしのような一面もあり、できれば避けて通りたいとの気持ちが見え見えです。その点後者は、次代を切り拓くような気分にさせ、希望を抱かせます。

 その伝で言えば、前者はダイエットフードにお金をかけたり、飽食とシェープアップ運動を繰り返したりするような取り組み方です。その点、文子さんの身予防美学は、治療より予防を、他力本願より自力本願を迫っており、次代に備えた対策といえますから、私は共感を覚えます。

 それだけに私は残念な思いもしています。私は、かつてモーレツサラリーマンを自負しながら無理をして、さまざまな臓器を痛めており、今は心臓の疾患者です。もっと早く川上さんとも出会っておきたかったもの、と思っているわけです。要は、私は「VIBGYOR COLLAR」を提唱していながら、その不適格者であったと反省させられているわけです。つまり、自己責任の下に自己の体を維持管理するという面で、不適格者であったわけです。

 なぜか今、文子さんを育んだ環境やお母さんにをとても興味を抱き始めています