欧州のイギリスなど植民地生政策先行者だけでなく、後続のアメリカも相手にして、日本は戦争に挑みかけ、国土を焦土にされました。それは、突き詰めれば、わが国が中国や朝鮮などに、植民地政策を引っ提げて爪を伸ばしたことが原因です。
結果、未だに日本は中国や北朝鮮だけでなく、韓国はもとよりアメリカなどの国々から非難を受けてる、と読み取らずにはおれない報道が目につきます。その原因は明らかで、「戦争が犯させた蛮行」を日本が清算していない、と見られているからです。あるいは、国際社会の考え方や観方に目を閉じようとしているフシを見とがめられているから、と言えそうです。
わが国は憲法で9条を掲げており、「蛮行を犯させる戦争」を再び国際問題の解消手段には用いないことを誓っています。ですから、過去の「戦争が犯させた蛮行」さえ清算すれば、胸を張ってくらせます。それどころか、国際的な戦争問題の仲裁に割って入り、尊敬の対象にしてもらえる最短距離に位置しています。にもかかわらず、わが国は世界から「戦争が犯させた蛮行」の清算をしていない、と非難されています。つまり国際社会は、安倍首相などの(侵略や従軍慰安婦問題などに関する)説明を言い訳以下の屁理屈、と受け止められている恐れがあります。
このたび、アメリカを訪れた韓国の朴(女性)大統領は、議会で演説する機会を得て、名指しこそ避けたとはいえ、わが国が「戦争が犯させた蛮行」の清算をしていない点を厳しく糾弾し、オバマ(黒人)大統領はじめ全議員から万雷の拍手を受けました。その瞬間、わが国は孤立です。
この問題は、例えば慰安婦問題は、一人でも慰安婦にされた人の生存中に解消しておかないと、日本の末裔を、とても辛い立場に立たせるでしょう。人種偏見や性差偏見から人々は次第に解放され、その度合いが進むにしたがって問題を深刻にするでしょう。
安倍首相は、過日経済人を引き連れて国際的トップセールスを演じて見せましたが、そこには原発輸出の販売促進が含まれていました。国内にあっては、311での原発の不具合は、原因はもとよりその安全性も突き止められておらず、被災者の補償問題も解消されていません。
わが国はかつて、1アジアの女性大統領からエコノミックアニマルと揶揄されましたが、このまでは更なる厳しい非難の声を生じさせかねません。心配です。
実は過日、NHK−TVで、第2次世界大戦時を振り返った番組を見ていましたが、腹立たしい証言がありました。「ドイツも酷かったが、まだ相手は人間だった。日本はケモノだった」といったような証言でした。何がそれを言わせたのか。
おそらく、万歳突撃という集団自殺行為はもとより、負傷して兵士が旧式な銃の銃口を口にくわえ、足で引き金をひいて次々と自決する姿や、追い詰められた女性が断崖から身を投じる姿などを目の当たりにしたことが関わっていたのでしょう。捕虜となって、国際的条約に従って保護される道を選ばず、手の差し伸べようのない「断末魔の光景」を演じる姿を目の当たりにした印象だったのでしょう。私は、こうして犠牲になった人に深い同情の念を禁じえませんし、感謝の念でいっぱいです。2度とこのようなことを生じさせてはならないと思います。
問題はなぜ、「断末魔の光景」を日本人は自らの身で演じて見せたのか。それは戦陣訓などで縛られていたからでしょう。現実に捕虜になった兵士を出したりした銃後の家庭は、周りの民衆などから襲われ、投石されるなどしてひどい目にあわされています。ひどい目にあわされた銃後の家庭はもとより、わたしは捕虜になった兵士だけでなく、ひどい目に合わせた銃後の民衆にも同情します。同じようなことを2度と生じさせない国になってほしいと願います。
問題は、戦争です。その戦争をおこさせた考え方です。戦陣訓などをつくって国民をしばりあげさせた悪しき思想です。そうした悪しき思想が台頭しかねない日本の現状を世界は危惧の念で見ています。そのありようの一端が、アメリカ議会でこのたびあからさまにされたわけです。
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