技や知恵
 

 庭づくりの楽しさを覚える上で不可欠の要素は「根気のよさ」と「ひらめき(閃き)」ではないでしょうか。なにせ、2度と同じことを繰り返さない自然、2度と同じものを生み出さない自然が相手です。しかも、金に飽かした庭づくりではなく、己の体力と己の甲斐性の範囲内で手に入れられる材料で、なんとか仕上げなくてはなりません。

 このたびの作業に関わった材料は、庭に敷く砂利ではなく工事用砕石と、そして2トン車一杯分1.3万円で廃棄場から運んできた(古民家解体で出た)自然石です。その石でこれまでの庭づくりをしてきましたし、今回もしました。

 ザイフリボクの根元を石で囲みましたが、これは彬さんの提案です。ですから私は、その場にあった傷だらけの自然石を組み合わせて1つの手本をまず示しました。そして彬さんに、わが家の石置き場から自分で選んだ石を運ばせ、1人で作業させました。

 出来上がった石囲いを見て「助言」と「修正法」を示して見せ、やり直させました。そして「70点」の採点です。後ほどやってきた妻の採点は「65点」でした。そしてその評価の根拠は、私とほぼ同じでした。その時点から彬さんが改めた結果が先週金曜日の姿です。

 この間に、私は3mほど離れたところで、別の作業に取り組んでいます。それは長年気にかけていた砕石の砂利道にできた失策の補修です。それは、砕石道に植木鉢を据えておいたことで生じた失策です。植木鉢の底にある丸い排水の穴から土が溶け出し、砕石道の上に溜まって盛り上がり、そこにコケが生えたりして点々と、まるで美肌の上のホクロのように、目立っていたのです。

 その緑の、いわばホクロを、砕石ごと掘り取り、フルイで土を取り去り、砕石だけ元に戻す作業です。実に根気のいる作業です。@〜D

 彬さんは、この作業を横目でどう見ていたか私には分かりませんが、私はわが作業の印象を述べました。「ニキビ取りをしたことがありますか」「気になっていた幾つものニキビがうまく取れた時の爽快さです」「この爽快さが、ニキビの時よりもはるかに大きく感じられるか、爽快には感じられないか、1つの大きな(人生の)分かれ目(であるかのように私には感じられていること)です」。


 

傷だらけの自然石を組み合わせて1つの手本

彬さんが改めた結果が先週金曜日の姿

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