お坊さん
 

 独身で、自給自足のような生活をして生きてきたこの人の生き方は、さらに質実剛健に思われました。その活動の家には、囲炉裏もありました。寝泊りする方の小さな家には、薪ストーブのある小さな土間、小さな寝室、そして小さな書斎がありました。様々な思い出の品、書籍、あるいは手で補修した道具などが所狭しと、丁寧に置いてあり、しばし目を奪われました。

 この2つの住まいの間に100mほどの距離があり、その間に、田畑、田に水を引く澤、乾季に備えたて水を張って置く容器、あるいはフキなど山菜の収穫場などが広がっていました。田畑は草ぼうぼうになっていましたし、集水装置も今は生きていません。この2年余の間は放置されてきたのでしょう。フキが、うらやましくなるほど瑞々しく見事に育っていました。

 雨水や沢の水を溜めて置く容器の上に張り出した小枝に、幾つものモリアオガエルの卵塊がぶら下がっていましたが、その幾つかは人為的に紐で結わえ直されていました。目をもっと高いところに移すと、もう1つありましたが、それは明らかに容器から離れた位置に産み付けられていました。きっと、この人は手の届く範囲で、容器から離れた位置に産み付けられた卵塊を移動させたのでしょう。

 キット多くの卵は孵化し、カエルとなって生きてゆくことでしょう。人間以外は、そうとは知らずに生きています

 この人は酒好きと見えて、飲んだくれになったようです。読書の時間も減ったようですが、書斎の小さな机の上には読みかけの本がありました。その人が日々眺めて光景にも踏み込みたくて家の側面に出て、草の中を歩みましたが、スイレンを植えた小さな水たまりもありました。書斎の小さなはめ殺しの窓の向こうに人影はなくなってしまったようなのです。

 自給自足生活を目指してきた人が、むくむくと育った山菜さえ摘んで食べっれない日々に陥れられたわけですが、どのような生き心地にされたのか。

 もちろん現金収入も必要ですから、養鶏もしていたようです。固定資産税はもとより「税金も納めていた」といいますが、生活設計がガラリと変わってしまったわけです。

 他にも、深酒に浸ってしまい、ともに食道ガンで急逝したという夫婦の家も訪れました。この夫婦は雨水の集積や、太陽光温水器、養鶏など、さらに質実剛健な要系生き方をしていたようです。

 


活動の家

囲炉裏

寝泊りする方の小さな家

小さな寝室

小さな書斎

思い出の品

思い出の品

書籍

書籍

手で補修した道具

手で補修した道具

2つの住まいの間に100mほどの距離があり

田に水を引く澤

水を張って置く容器

フキ

人為的に紐で結わえ直されていました

モリアオガエルの卵塊

書斎の小さな机の上

家の側面

家の側面

スイレンを植えた小さな水たまり

養鶏

質実剛健な要系生き方

質実剛健な要系生き方

質実剛健な要系生き方

質実剛健な要系生き方