運転免許返上

 

 この8月に75歳の誕生日を迎えますから、運転免許は後期高齢者免許になります。そこで、更新しないことにして、運転歴25年、無事故、でピリオドを打つことにしました。

 キッカケは、数か月前に車を3台目ワゴンRの新型に乗り換えたことです。サイドブレーキの操作が足踏み式に代わっていましたし、彬さんという運転技術に長けた若者を迎え入れていたことが重なり、ここ3か月余の間は運転する機会がなかったのです。

 まず、更新するとなれば、練習のし直しから始めなければいけません。そうと分かっていながら、また妻に幾度か促されていながら、いつも「またこんど」と先送りしてきました。これがこのたびのキッカケをキッカケとして生かさせた最もたわいのない要因です。

 妻は、「乗り気でないなら、この際に」と、決断を迫りました。彬さんも(廃車にする事故を起こしたことがる体験から)「そうした方がよい」と言わんばかりの表情でした。そこに(私を「でにむどす」のプレオープンパ−ティから送り届けて)居合わせた後藤さんも一言挟みました。必要なときは「いつでも(私は運転が好きだから)運転してあげますよ」でした。なぜかこの一言が決め手のように感じられたのです。

 もちろん、そもそものキッカケは25年前にさかのぼります。最初の車を買う時に、妻と結構時間を割いて車談義をしています。

 環境問題の面から言えば、極力公共交通機関を用いるべきでしょう。ですから、50歳になるまで運転免許を取ることさえ考えなかったのです。もちろん、それまで妻は16年間、自転車で買い物に出かけていました。最寄りの店でも2km近く離れていますし、帰途はだらだらした上り坂続きです。ある日私は、買い物帰りの妻が、上り坂のコーナーで、前の籠に乗せていたスイカを落としそうになる姿を目撃しました。そのころ、人形工房に併設した喫茶室を喫茶店にする話がもちあがっていました。結局、小回りが利く軽4輪に決め、ダイハツ・ミラの黄色を選んでいます。

 皮肉なことがあるものです。先週末に私は運転免許の返上を決めていますが、6日後のこの金曜日に妻が(友人夫妻を送った帰りに)T字路で接触事故を起こしたのです。わが家から歩いて1〜2分のところです。それは、私にとってはとても幸運でした。

 双方に人身上の問題はなく、当方の車の被害だけで済みました。T字路に出るについて妻はブレーキを踏み、首を伸ばして右方向を見ようとした瞬間に、当方の車に突っ込んできた車があったのです。愛媛県の車で、急いでいたようです。バンパーがめくられ、右のドアーが開きづらくなっていました。先方の車(400ナンバー)は、バンパーにかすり傷です。見通し状況から見ても、確実に先方の不注意と思われましたが、あとは保険さんに任せました。

 なぜ幸運に感じたかと言えば、事故は事故です。同時に、相手の運転者が、妻があきれるほどうそを述べたからです。車の運転について、妻は少し馴れが出ていたように睨んでいます。かねてから妻は、私が車で出かけると帰り着くまで心配していた、と言いますから、それが何よりの証拠でしょう。この度はとてもよいオキュウになったと思います。