彬さんが携わった畝起こしを、今の(ポンコツエンジンの)私が受け持てば、息を整えながら行わざるを得ませんから、2倍もの時間を要するでしょう。もっとも妻によれば、60歳代までの私なら、彬さんよりはるかに早く、しかも完ぺきに除草も済ませていた、との評価です。いずれ私は、そのころの私のやり方を、彬さんにも教えたく思います。
次に、妻が携わった草ぬきを、私が代わって行ったら、きっと2倍の時間がかかったでしょう。また仮に、母が生きていて行ったといたら4倍はかかったことでしょう。母は舐めるように丁寧に、小さな草まですべて抜き去る人でした。でも問題がありました。それはその日に除草に手を付けた部分に限ってのことであって、翌日以降に回した手を付けていない部分を見ると、種を付けた草があるのに、そのまま残していました。
つまり母は、「抜くと決めたところを完璧に抜き去らないと気が済まない」人でした。私は逆に、この庭を「家族の手で自己完結的に、かつ生活の糧として上手に活かすこと」を主眼にしていますから、除草もそれなりの工夫をしています。草を抜くタイミングと、抜く草の優先順位付けをことのほか大切にしており、その都度変えています。たとえば、除草に手を付けるタイミングが遅れ、草に種まで付けさせてしまった時は、まず種を付けた草を抜き去ります。もっと遅れたときは、種だけ取り去ります。次いで、花を咲かせている草を対象にし、さらにゆとりがあれば残る草をすべて抜き去るやり方です。
妻の除草方針は、第3者の目に「除草が出来ている庭と映るように、一刻も早く仕上げたい」にあるようです。ですから、なんとも手早い。私はいつも、妻や母をいかなるタイミングで除草に駆り出せばよいのか、そのタイミング作りに配慮していました。
このたび私は、新果樹園の整備をしましたが、彬さんは手をつけたがらない作業でしょう。いわゆる七つ道具(カマ、剪定バサミ、ノコギリ、シャベル、2種の除草道具、あるいは小型のスコップなど)を携えて行う整備です。夜叉竹は刈り取り、草は抜いて果樹の根元に巻くようにしておき(マルチングの役目を果たさせながら、雨の度に肥料分を溶け出させ)、クサギなどは剪定します。適度なスペースができると、畑の畝から中国ホウセンカの苗を移植するなど。
かつてはやむなく、この作業を妻にさせることがありますが、手早い妻が私の2倍以上の時間を要します。その代わりに、妻は私のような被害(すり傷やススキの葉による切り傷とか、ハチに刺されるなど)にあったことを聴いたことがありません。わたしは、それらは常連で、自慢じゃありませんがマムシにも一度咬まれたことがあります。
乱暴な私ですが、私が1人で、この日の3人が手分けした作業を受け持っていたら、あと2日以上を要していたことでしょうし、1人で取り組んだのではこうは楽しくなかったと思います。
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