4重の幸いをもたらしました
 体調は最悪でした。だからでしょうか珍しいことに、この日は6時半から二度寝に入りました。その時に、まどろんでいた妻が気づき、目を開けましたので、7時15分には起こすように、と頼んでいます。その直後から大雨になったのです。

 フト思うところがあって、7時に起き出しました。このところ、大雨が降るのは、いつも夜分でした。「今しかない」と思ったわけです。3時半から起き出していたのは暑苦しさでした。「ずぶ濡れになってもいいわけだ」とも考えました。

 妻に雑巾を用意しておくように言いつけて再び起き出し、パンツ一枚になって、庭に(飛び出すわけにはゆかず)よたよたとくり出しました。

 もちろん妻は、制止を試みています。しかし、すぐにあきらめたようです。天の助けをいかに生かすか、これを何よりも大切にした生き方・自然の摂理にそった生き方を私は心がけていますから、あきらめたのでしょう。大げさに言えば、この時を逃してはならない、と思ったわけです。

 緩やかな坂地に設けた囲炉裏場と大雨との関係を点検するのが主目的でした。足かけ3年にわたった囲炉裏場のかさ上げ工事は、311がキッカケでした。緊急時に、ここでテント生活ができるようにしたわけです。その願いをかなえるためには、テント生活が(緩やかな坂の上部から流れ込む想定内の)雨水ごときに脅かさないようにする必要があります。この朝の思わぬ大雨のおかげで、この願いがかなえられているか否かが確認が出来そうだ、と考えたわけです。

 加えて、部分的な補修さえすれば、囲炉裏場内に降った雨水も、うまく八方に流れ去らせそうであることも確かめました。補修のための赤土は、前日の内に彬さんに運び込んでもらってありました。佛教大学の学生を迎える日が3日後の27日に迫っていました。

 もちろん、畑に流れ込んだ雨水がうまく流れ去るように、畝間の溝の高低差も点検しています。また、前日彬さんに耕してもらったジャガイモの畝にも、たっぷりと雨が降り注いでいました。「この調子だと、すぐにでも種イモを植え付けられそうだ」と喜んでいます。

 ジャガイモは大量の肥料を要する作物です。堆肥、鶏糞、木灰、そして有機石灰をたっぷり鋤き込んでいます。これらの有機肥料がほどよく効くようになってから、種イモを植え付けたり種をまいたりするわけですが、そのために雨が必要です。つまり相当の水で、肥料をならしたり、地中のバクテリアに無機化してもらったりしておくことが必要であるからです。それがこの雨でかなえられたことを知りえたのです。

 かくして、びしょ濡れになって戻り、足だけ拭って風呂場に直行です。後を追ってきた妻に、背中にこびりついていた(宙八さんの指導に従ってイモやメリケン粉などで作った)手作り湿布薬を拭い取ってもらいました。体温で乾燥してこびりついていたのですが、雨に濡れたおかげでほどよくほとびていたのです。

 もう一つ、ありがたいことがありました。蒸し暑さに耐えかねて起き出していながら、びしょ濡れになったおかげで、残り湯で体を洗っているうちに肌寒く感じられ始めたのです。とても気持ちよく、朝食にありつけました。

 もちろん、付録もつきました。過日、玄関前からわざわざ移動させた水鉢が、それまでの場所と同様に不適切な所であったことが分かったことです。それまでの玄関前は、樋の水があふれて滝のように流れ落ちる場所(それがストレスとなるようで、金魚やメダカを死なせて来ました)でしたが、改めたところは、広縁の屋根の端から落ちる雨水が直撃していたのです。
 

広縁の屋根の端から落ちる雨水が直撃していた