「寿也さんはとっても自信に満ちた風貌になられましたね」が、妻の第一印象でした。軽トラックで迎えにきてもらった折の印象です。
娘の結さんと花連さんは、なんとも伸びやかなだけでなく、まだ子どもなのにインディビジャルな人(個を確立しているかのよう)に思われました。それは手作りの屋敷に案内され、この姉妹が立派な役割を担っている様子を見て納得です。
2匹の犬は、母とその子で、母の方は6年前に見ており、「ハッピーにそっくりね」と語り合ったことを思い出しました。でもよく見ると、ハッピーよりも毛が短くて、ずんぐりしていました。驚いたのは子の方です。顔立ちや目がハッピーに瓜二つでした。異なる所は3つでした。まず毛の色。次いで鼻の上の傷の有無。そして伸びやかさです。
ハッピーが、妻と2人だけになった折に見せる好き放題に甘える伸びやかな態度ではありません。家族の一員として対等の立場であるかのごとく、堂々とした伸びやかさです。そのわけの1つは、放し飼いであることでしょう。わが家の犬も、かつての放し飼いをしていた頃はそうでした。好き嫌いをするのではなく、むしろ好き嫌いはせずに、自己主張をしましたし、私たちと駆け引きもしました。
母犬の方は、体力は劣ってきたとのことでしたが、賢い犬でした。「こんなことまでするのか」と驚かされることもありました。きっとお尻が痒かったのでしょう。坂の上に幾度も登り、その都度尻をつき、両の後ろ足をあげて滑り台を降りるようにして尻を草にこすりつけていたのです。わが家の犬もお尻が痒くなったときは、草や植え込みに尻をこすりつけますが、適当な坂があれば同じようなことをするのでしょうか。
犬も含めて家族の構成者が、それぞれの役割を心得ており、阿吽の呼吸で合奏し始めるような生活空間でした。わが家を訪ねてもらった折に、持ち帰ってもらった木の苗もその一員になりかけていました。カエデの苗は土中庫の前にあって、やがて大きく育ち、ネムは夏の館の南側にあって、やがて大きく育ち、土中庫や夏の館を夏の直射日光を和らげることでしょう。
土中庫や夏の館をはじめとした造作は、主として、家具職人であり頑丈な体の持ち主である寿也さんの知恵、技、あるいは集中力などの賜物でしょう。しかし私は、仁美さんの力が大きかったに違いない、と思いました。寿也さんは仁美さんのおかげで、それら才能や忍耐力を存分に発揮できたのではないでしょうか。
この度の助言に加えて、わが家を訪ねてもらえた折に、第4の助言をしたく思っています。
思いお土産をもらって帰り、中を開けてびっくりしました。私たち夫婦にとっては宝物のように思われました。
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