ベルリンフィルに再招聘される人

 

 ベルリンフィルハーモニ管弦楽団は、「年に20人程の指揮者を外部から招いている」が、「2度目に呼ばれるのはほんの一握り」とか。佐藤裕さんはこの20人の1人になったわけですが、はたして「ほんの一握りの1人」になれるか否か、興味津々です。私は招かれる人になってほしいし、なる人とこのたび見ました。

 20人の一人になったある指揮者は、当管弦楽団の人たちと対峙した時に「ライオンの檻にいるようだ」といったような発言をしたとか。なぜその指揮者はそう感じたのか。それは当楽団員の自負でしょう。第一バイオリン奏者を勤めている樫本大進さんや他の奏者の証言からそう感じさせられました。物足りない指揮者に当たった折は「アンサンブルとして自分たちでやっちゃおう」と考えたり「おれらなりの演奏がしたい」との願いを持っていたりする、との証言でした。

 同時に、(当管弦楽団の)演奏家にとって嬉しいことは「自分たちの音楽を創っている」と思えたときだ、との証言もありました。つまり、管弦楽団としてとても自己完結している、と畏怖しているとも理解してよいのではないでしょうか。

 佐藤さんは、かつてある女子高の演奏クラブに指導を求められており、これが指揮者への道を切り拓かせた、と言います。その折は、銅賞に終わったようですが、佐藤さんは女子高生との演奏にとても満足していました。つまり、「自分たちの音楽を創った」とでもいったような満足感を女子高生と共有できたようなのです。しかし、それが「女子高生の演奏には不適切」といったような評価に終わった、とこの番組の中で語っていました。