躊躇していたことを実行に移す勇気を得ました
 

 

 実は私も、元に戻せば旧に復し、4匹で元気になるのでは、と考えていました。それだけに、この魚学者にトンと背中を押されたような気持ちになり、即座に「戻します」と反応しています。その気になれたのです。

 なぜそれまでは躊躇していたのか。私が思っているようになったらどうしよう、との躊躇です。それでなくとも「私は猫マタギ」です。魚を食べたら骨までしゃぶってしまうほどきれいに食べ切ります。それは、わが家では父が隔離部屋で闘病生活でしていたものですから、母子家庭同然であったからです。小学1年生から、タンパク源として鶏をヒヨコから飼わされ、小学4年生から鶏を締め殺す役割を担わされています。おのずと命の大切さ、尊さをいやになるほど思い知らされています。ですから、牛肉片を食べる時はウシを、刺身を食べるときはサカナに思いを馳せてしまいます。食べる以上はとことんきっちり食べきってしまいたくなります。

 もしキンギョにもココロがあり、4匹が旧に復したらどうしよう。これまで「私は何をしてきたのか」との思いに駆られないとも限らない、と思いました。ボウフラ退治の要員と見るなど好き勝手に扱ってきたわけですから。ですから、「そのようなことはあるはずあない」と思っていた方が気楽にきまっている、とばかりに逃げていたのだと思います。