来客
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祐斎さんをはじめ、予期せぬ人たちと触れ合うことができ、いろいろなことを感じ取ったり、思い出したり。考えっせられたりしています。 そのお1人は、妻の人形教室の生徒さんで、もはや「教室仲間」といったほうが適切な方のお一人です。見事に刺繍柄Tシャツを補修されました。室内犬に食いちぎられた部分だそうですが、既存の刺繍柄に倣い、裏地を当て、より優れた柄に補修です。 次の1人は、私の友人で、庭に「ハチの巣はありませんか」との電話から始まり、取りに来てもらいました。「娘の友だちが探しているようで」とのことでしたので、空き家になっていた巣を進呈しました。過日、私はアシナガバチに刺されましたが、そのハチが棲んでいた巣です。わが家ではスズメバチといえども、いわんやアシナガバチなどは普段は殺しませんが、ツタの掃除を続ける上で、退治せざるを得なかったのです。 その次のお一人は、妻が創った抱き人形が縁の人です。私が受けた「髪の毛がグチャグチャになってしまいました」との一本の電話から始まった家族です。どうやら「洗濯されたのネ」が妻の見立てで、顔の化粧も消えていたし、純毛で作った髪の毛がフェルト状になっていました。妻はそのフェルト状の髪を、リボンのごとくに活かして直しました 。 もう一人は、「そと姪?」です。過日義妹と綾部にある白雲窯を訪ねましたが、その娘は陶芸家なのに急に行けなくなっていました。子どもが風邪で熱を出したからです。ですから、海詩のことを思い出し、「風邪で熱を出したぐらいで病院に行くようではダメだ」とまず説教しました。 海詩はインフルエンザで40度Cの熱が続き、4日目には脱水状態になっています。そこで、母親のみかさんは病院に連れてゆき、入院となりました。父親のドンさんは海外出張中でしたが、その知らせを聞いて、「すぐさま(自宅に)連れて帰るように」と電話口で叫んだようです。海詩とドンさんから最も信頼されている妻であり母であるみかさんの手で治してほしかったのでしょう。この夫婦にとって、海詩は高齢出産の一人娘です。 ほんのひと昔前までは、無医村地帯で住まう人が過半を占めていました。だからと言って、子どもからその父や母は信頼されていなかったか、あるいは無責任な子どものもうけ方をしたと恨まれていたかと言えば、そんなことはないはずです。むしろ慕われ、尊敬されていたはずです。同時に、そうした時代や地域では、子どもたちの未来により美しい空気や水などを残しているはずです。また、子どもたちをより免疫力をもったからだにしていたはずです。 こうしたことを考えているうちに、過日の綾部から舞鶴方面に向かった道中での印象を思い出しています。由良川が氾濫し、一帯を傷めつけましたが、水位は「旧に復しています」とのことで、爪跡は随所に残っていました。 田畑では、たわわに実った稲が水をかぶって倒れており、「早く刈り取らなければ」と思いました。早く刈り取って乾かせば、きっとそれ相当の収穫が出来そうなのに、と思ったのです。また、小豆の畑に野草が茂り、埋まらんばかりになっていました。今からでも草取りをすれば、それ相当の収穫があることでしょう。 ですから不思議に思いながら、その筋の人に問いかけてみると、「そんなことは農家は百も承知です」との応えでした。「農家はチャンと計算しているんですよ」と続いたのです。災害共済組合に損害を認定してもらったほうが「金になる」と知っているのだ、とのことでした。 |
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裏地を当て |
より優れた柄に補修 |
空き家になっていた巣 |
フェルト状の髪を、リボンのごとくに活かして直しました |
水害の爪跡は随所に残っていました |
水害の爪跡は随所に残っていました |