怪我の功名
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わが家ではよく夫婦喧嘩をします。その都度、最後のセリフが少し変わるだけで、同じことを言い続けてきました。「何べん言ったら分かってくれるんだ」の後に「10年も、同じことを言って来たんだゾ」と付け足していたのが、「20年」になり、「30年」になっただけで、とうとう40年になりました。 要は、そのつど「言い方が悪い」とふくれたり、「孝之さんも」と揚げ足を取ったりするだけで、とうとう40年になりました。しかし、ケンカのたびに少しずつ相互理解が深まったように思われますから、「マアいいか」とあきらめかけていたわけです。 なぜなら、そのテーマは時によって異なりますが、いずれのテーマにも共通する点があります。それは、妻が直した方が、あるいは改めた方が、妻が楽になることを伝えてきたことです。忙しい妻が、時間を節約したり、無駄を省いたりするコツなどを伝ええるのですが、通じません。 ですからこのたび、どうしてこうも同じことをも言い続けなければならないのだろう、と不思議に思い、爆発した翌日に、「直そうと思えば直せるはずなのに、どうして直す気になってもらえないのだろう」と、その想いポツリと伝えてみました。 その後に、一言も言葉をつけ足していません。これが怪我の功名になったようです。 |
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