「ラッキー」
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男性コーラスグループのリサイタルに出かけたのは、これが最初ですが、楽しかった。このたびは「アリババと15人の盗賊」といういわば同好会グループでしたが、それがよかったのかもしれません。ご本人たちの真剣度(唱ってナンボのプロの技巧ではないスガスガしい光景)が伝わってきて、網田さんも感激でした。 私の友人は、かつてこのメンンバーの1人であったのかもしれません。最後の方で呼び出され、一緒になって歌っていましたが、ひときわ大きく口を開けていました。 実は、次の写真のこの人(ソロ)の『恋人よ』に、私は心をとても動かされました。それはこの人の「歌唱力が抜群」であった、という意味ではありません。後になって分かったことですが、それは「網田さんの隣で聴けた」ことが大いに関係していたのです。 音楽の力を改めて思い知らされたような気分にされています。歌詞の中で「ジョウダンだったと言ってほしい」と、いったような下りあたりで感極まってしまい、困ったぐらいです。妻のけなげな姿を思い出してしまい、妻とケンカをして憎々しく思った己の姿を連想し自分の、自己卑下の感にさいなまれたのです。 ですから、こうした気分や想いになれた喜びを記念にしたくて、帰途の網田さんの車の中からケイタイで、後藤さんに連絡を入れ、五輪真弓の『恋人よ』をいつでも聞けるようにしてもらいたい、と頼んでいます。夫婦ゲンカをする前に(ゆとりがあれば)、あるいはゆとりがなくてケンカしてしまった場合はその後で、『恋人よ』に耳を傾け、心を鎮めようと考えたのです。 要は甘っちょろい話です。でも、どうしてあのように心が昂ぶったのかと後で考えており、やがて思い当たるフシにたどり着いた次第です。 それは311にさかのぼります。311からそれほど日時が過ぎ去っていなかった頃のことでした。311後の最初のアイトワ塾の折に、網田さんは妻に1つの質問をしたようです。 311のような事態に直面したら、「小夜子さんなら、何を持って逃げますか」との質問です。網田さんによれば、妻は間髪を入れず「孝之さん」と答えたというのです。もちろん「ジョウダンは休み休みにしてくれ」と聞き流しましたが、実はそれを思い出してしまったのです。 ひょっとしたら「女性は」、と柄にもない想いを巡らせてしまったのです。 もちろん、妻に問いただせば「ジョウダンよ」と一笑に付されることでしょう。 |
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ひときわ大きく口を開けて |
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