多彩なプログラム
 

 

 「RIP」と聴いて何を思えばよいのか。NZでは「Rest to Peace」を連想するそうです。「GATE」と聴いて何を思うか。NZでは「Gifted & Talented Education」を意味するそうです。後者に私は、改めて衝撃を受けました。

 もう1つ「Lifestyle Block」とは何を意味するか。これには「わが意を得たり」の心境にされています。このブロックに、みすずさんの新居がありました。前回妻と訪れたときに、披露宴の着付けを妻がしてさしあげた人です。整体師の資格と人柄の良さを携えてNZに移り住み、私がギックリ腰の身で最初に訪れたときにイッパツで直してくれた人です。

 みすずさんは、結婚して一家を形成し、このX`massは、その家を1日400NZドル(約4万円)で貸して、休暇旅行に出ていました。彼女は正直で明るく、他人や自然おもいの誠実な人ですから、NZにぴったりのような人、と私は勝手に見ています。

 この度の旅行でも、X`massのありようや、家族のありようだけでなく、企業と従業員のつながり(ドンさんが会社から贈られたギフト)など、人生、教育、流行、優しさなど、地域や国のありようまでさまざまな角度から学んだこと多々ありました。また、復路ではオークランド空港と経由地のHKで、それぞれ長時間の待ち時間があり、初めての体験や経験を楽しむこともできました。

 滞在した別荘:「 Valleyhomested」という固有名詞を持つ15haの土地つきの築100年の、英国風の邸宅です。創った人は、有償で見学者を迎え入れていたそうで、複数の海外のガーデニング雑誌でも紹介されてことがあります。野ブタ・ジンジャー(は痩せていました)と野生の数頭の牛は健在でした。ジンジャーは、滞在中の友人が3か月いる間に、残飯で太ります。

 海詩はここで新たに2羽のヒヨコを飼い始めていました。毎日のごとく通って来て世話をやいているのでしょう。同道した友人はゴルフの打ちっぱなしも楽しんでいました。夜になると、南十字星が望めましたし、X`massらしくなりました


 

X`massのありようや、家族のありよう

X`massのありようや、家族のありよう

X`massのありようや、家族のありよう

ドンさんが会社から贈られたギフト
 

英国風の邸宅です

2羽のヒヨコを飼い始めていました

X`massらしくなりました

 同道の友人を、今は荒れ果てた池めぐりに誘いました。また、野菜サラダに用いるクレソン採りにドンさんと出かけましたが、庭内に車で行けえるように道が出来ていました。

 一帯は心地よい夏:ジャカランダ、ブーゲンビリヤ、アジサイなどの木々や、アガパンサスやバターカップなどの草花が咲いていました。昼は海水浴を楽しんでいるのに、夜は薪ストーブを焚かなければが寒く感じました。

 カウリの森:3度目の訪問で、やっと巨木を巨木らしく撮れました。観光客が踏み込むことによって、森は次第に弱っています。いずれ有償になり、制限され、踏み込み禁止菊が増えそうです。そういえば前回、レイさんの庭で、妻と2人でカウリの記念植樹をさせてもらったけど、あの木はどうなっているのでしょうか。

 先住民との折り合い:NZは、世界の植民地にあって最も先住民との関係がうまく運んでいる国、と言われます。入植時のワンタンギ条約も優れており、その後の関係見直しもよかった。

 このたび、友人の娘一家・ドンファミリーが新築する予定の、敷地内の一角も訪れました。ここへも車で移動しましたが、この道づくりと新築予定地の開発許可を取るために数年の歳月を要しています。それは、先住民マオリの遺跡が眠っていないかどうかの調査でした。

 問題は近年、この人種などに対する寛大さに甘えるがごとき移民が目立つようになっており、近年はブレーキが掛っていそうです。

 この本質は、つまりNZが是とする人と非とする人の差異を私なりに突き詰め行けば、「己の今」と「皆の明日」のいずれを大切にして持てる力を駆使するかの差、ではないかと思います。

 

荒れ果てた池めぐり

荒れ果てた池めぐり

クレソン採りにドンさんと出かけました

ジャカランダ

アガパンサス

昼は海水浴を楽しんでいる

やっと巨木を巨木らしく撮れました

 

 


 

 3度の魚捕り:到着した日に、ドンさんの弟・マイクさんに2匹の鯛を届けてもらい、同道の友人はコブ締めにしました。その姿を写真に収めていると、ドンさんが「待った」をかけ、手を加えました。それがこの写真で、魚にまつわる最初のNZでの思い出になりました。

 最初の魚捕りは、出発2日前まであきらめていたマオリ人のレイさんに、バタウアノーズにある浜の家(バッチ)に連れてもらったときです。彼は家族とX`massをオークランドで過ごしていたのに、私たちの到着日(23日)の夜に帰って来て、翌早朝「ピックアップするから浜でピピを拾おう」「2時まで時間を作った」と、誘ってくださった。

 巨木・ポプトゥカワの側で、その枯れ枝を燃料にしてピピを焼きながら朝食。引き続いて近隣を散歩。妻は同道の友人夫人と枯れた野草摘みに興じました。この日、レイさんと2人で潮が満ちるまで追い込み漁をしましたが、ボオズ。

 レイさんはその後、息子一家が待つかオークランドへ。その息子シェーンは名医で、ハーバード大学の教授でしたが、家族の事情で帰国せざるを得なくなったようです。

 2回目は26日。ドンさんの弟・マイクさんが10人も乗り込めるボートを出して、海釣りに誘ってくださった。海詩が一番に釣り上げ、計4匹の鯛が釣れましたが、1匹はリリース。私たち夫婦はボオズ。妻は途中で船酔いしダウン。3匹の鯛は刺身、コブ締め、そしてあら煮に。

 翌日、同道の友人(海釣りにも詳しい)に、船を出す準備もそうだけど、海釣りの後始末は「それは大変」と教えられ、マイクさんに礼も言わずに分かれたことをしきりに反省。

 3回目は、26日の夜、もう一度時間を作った、とレイさんに誘ってもらい翌朝出発。道中で、レイさんはマングローブの浜辺に立ち寄り、足を泥だらけにして桟橋の橋脚やマングローブにかじりついていたカキ捕り。私は初めて引き潮のマングローブを体験

 その上で、桟橋から垂らす釣りと、浜から沖に向かって投げ込む釣りを試みるも、ともにボオズ。レイさんは、私の釣り針に餌を付けるために専心、申し訳なかった。この釣り場の桟橋は、日本向けにパルプを輸出するためのものでした。

 ついに魚は1匹も捕れなかったけれど、浜辺に茂っていた枯草を摘み、持ち帰ると女性群は大喜び。妻はリースを1つ作って置き土産に、残りの枯草は持ち帰りました。

 


ドンさんが「待った」をかけ、手を加えた。それがこの写真

 

枯れ枝を燃料にしてピピを焼きながら朝食

近隣を散歩

近隣を散歩

枯れた野草摘みに興じました

10人も乗り込めるボートを出して

海詩が一番に釣り上げ

カキ捕り

引き潮のマングローブを体験

投げ込む釣りを試みる

日本向けにパルプを輸出するためのもの

妻はリースを1つ作って置き土産
 

 Parihakaタワー(鎮魂碑)と展望台:X`massの夜景を見にドライブに誘われ、展望台に上りましたが、そこで「この子の一切の誕生日です」とミニパーティを開いた一家がいまし。帰途の坂道にこの鎮魂碑があり、鎮魂の仕方に心を打たれました。戦争が失わせた命を鎮めており、戦争や相手を特定していなかったのです。

 X`mass Eve:賑やかに電飾する家庭が表れており、その見学もしました。自分たちの末裔も含む「皆の明日」のことより、「己の今」のことに夢中になる人がNZでも増えようとしているのではないか、と少し心配でした、でも、すぐに反省です。そうだ「原発を許していない国だった。代わりに、日本の技術を活かした地熱発電で灯している」と思いながら、楽しみ、後にしました。この電飾の動きはかつて、丘陵地帯の上の方に造られた(チベットから流入した人たちを受け入れた)施設で始まったそうです。今はしていませんでした。

 Dignityと有料養老院:未だに整理がついていない課題です。居住地域の中ほどに見た有料の養老介護施設であり、その主たる意義(?)でした。たとえばシシババを自ら始末出来なくなった老人が収容され、プロに任せ、家族などに醜い姿を見せずに済ませられる施設です。その狙いは、当の老人のDignity(尊厳)を尊ぶところにあったことです。

 多分これは、彼我のインディヴィジャル(個の確立)度の差異や問題であろう、と思いながら、亡き両親のことを思い出しました。

 父は死ぬまでに1度、粗相をしたことがあります。妻に抱きかかえられて小用に立ちましたが、たどり着いたときに思ったように指が動かなかったのか、間に合わず、漏らしたのです。

 「すまんなあ」と、一言いったそうですが、ひときわ妻は身近な人に感じたようです。

 母は大腸がんの手術で人工肛門になりました。そして、私たち2人がどうしても世話が出来なくなった時のことです。病院に(転移調査で)預けました。さあ大変(これはいずれ記します)。

 結局その後、妻が面倒を見ています。息子であれ男のわたしには見せたくない(Dignity?)、重度の要介護者でありプロに頼めましたが、複数の人に触られたくない(Dignity?)とむずかり、「小夜子さんお願い」となったわけです。ですから妻は大ハッスル(これもDignity?)し、病院長に通ってもらいましたが、「もって2〜3日」との宣告から45日も生き長らえさせました。この看病を通して、妻は実の母より深いつながりを意識したようです。

 その社会の歴史や文化、あるいは経済力や技術力、はたまた各人の意識や考え方などによって多用な側面を露わにする問題でしょう。実は、アイトワ塾の新年会でこの問題を提起しており、延々2時間ばかり喧々諤々しており、とても良い夕べになりました。

 余談ですが、NZで世話になった友人には息子がいません。おそらく長女のみかさんが面倒を見ることでしょう。それは、その夫・ドンさんの限りなき優しさの賜物、もちろんその優しさをフルに発揮させるみかさんの知性、加えてその気にさせる友人夫妻のありようだと思います。

 ここまで来て、フトと考えました。これまでに4度NZに来ており、クライストチャーチやオークランドでも、あるいはミルフォードトラックなど観光地でも、人前で化粧をしている女性をみなかったことです。きっとそれもNZでのDignityがなせる業でしょう?

 妻が欲しがった機器:ドンさんがこの度、ロンドンで買い求めて来た20万円もする機器を見せてもらいました。身近に心臓発作を起こしかねない人を抱えたときの準備です。突発時は、まず救急車を呼び、待っている間に活かす機器です。その使い方も学びました。

 NZは観光を売り物にしている国です。ですから、この度も同道した友人に、私たち夫婦は保険はかけずに行きます、と伝えています。事実、NZは観光を売り物にしているから、迎え入れた観光客の不慮の事故には確かな面倒を見るシステムを敷いている、と聞かされています。

 ドンさんはNZ人の模範のような人です。おそらく、心臓をいためた私を迎えるし、義理の父(NZに別荘を持つ友人)はたしか82歳になったはず。転ばぬ先の杖、と見たのでしょう。

 「私もこういう機器が欲しいノ」と妻が言いましたが、代わりに「骨壺を買った」と言いかけて、誤解を招いてはいけない、と思いとどまり、ドンさんに「サンキュー」と言いました。

 「Lifestyle Block」:広々としたなだらかな丘陵地帯でした。2台の車に分乗してカウリの森を目指していた時に、パンク。なんとその場所がみすずさんの家を含む Lifestyle Block の真ん前でした。みすずさんは留守と聞きましたが、ついでに、とばかりにこのブロック内部に踏み込みました。やがてみすずさんの家が望めました。お隣でしょうか、小さなウマやヤギを放し飼いしていました

 Lifestyle Block とは何ですか。応えは私の期待通りでした。意訳ですが、お金、物、地位、出自、あるいはメンツなどにとらわれず、和気あいあいと生きたいと願う人が集い棲む地区、とでも言えばよいようです。NZの中のNZ的空間ではないか、と思いました。

 「RIP」「Rest to Peace」:死を悼む気持ちは誰しも変わらないでしょう。NZの人たちの、その悼む心は(相対的に)とても深いようです。その心が誘った葬送のあり方ではないか、と私は思いました。とても楽しげに送ろうとする様式でした。

 「GATE」「Gifted & Talented Education」:子どもは誰のものでしょうか。親は子どもをどのように扱えばよいのでしょうか。このGATEを、おせっかいと思う人がいるかもしれません。

 学校が両親など保育者に出す通知の1つです。もちろん個別性や多様性を尊重する国のことですから国の制度ではなく、海詩が通っている学校の制度に過ぎないのかもしれません。

 要は、あなたの子どもはたぐいまれなる天分を授かって生まれていますから、それにふさわしい教育をお勧めします、と言った通知です。私の印象では、ある種の覚悟を両親など保育者に迫った通知です。おおげさにいえば、NZが報われるように健やかに育てようではありませんか、学校も祖に期になって当たります、との両親など保育者への提案です。

 これ自体にはそれほど私は驚きませんでしたが、感心したのはこうした通知が複数の限られた人に発行できる一帯の風土です。素直に認識され、嫉妬などが生じず、共有財産として喜びあえるから発行できるのでしょう。


ミニパーティを開いた一家

戦争や相手を特定していなかった

戦争や相手を特定していなかった

電飾する家庭が表れており、その見学もしました

 

20万円もする機器を見せてもらいました

 Lifestyle Block の真ん前でした

このブロック内部に踏み込みました

みすずさんの家が望めました

小さなウマやヤギを放し飼いしていました