剪定作業と鉈仕事
 

 この日初めて、緑のガレージの側に生えているハクウンボクとナンジャモンジャの剪定に手を付けました。さらに、そのそばに生えた自然生えのサクラとノブドウを切り取っています。そして、その剪定屑を囲炉裏場に運び込んだのですが、気が付くと、引き続いて鉈仕事に手を出してしまっていたのです。

 その鉈仕事の途中でフト気が付いたことがあります。「随分(この日は)多くの樹種を相手にしたなあ」とでもいった想いです。そこで、樹皮が異なる細い薪を1本ずつ拾い上げ、夕刻、居間に戻るときに持ち帰ったのです。案の定、人形工房から戻って来た妻は、まずそれに気付き、座り込みました。妻は19種の小枝の内、15種まで言い当てました

 カシワ、カシ、サクラ、サクランボ、ウツギ、クルミ、ユスラウメ、クヌギ、ウンシュウミカン、ツバキ、スギ、グミ、ナンテン、モチ、カエデ、ニセアカシヤ、カキなど19種類の小枝です。何せ庭には200種からの木々が育っています。

 これを機に、きっと妻は風呂焚きが少しは(ひょっとすれば、もっと)楽しくなるでしょう。薪を焚口に放り込む前に、その木の重さ(比重)や肌合いに興味を抱き、これまでとは違う意識を働かせるに違いありません。やがては酒ノミの酒に対する興味以以上の関心の持ち主になるかもしれません。なにせ、自然物は、人の顔が違うように、1本1本個性があるのですから。

 それはさておき、鉈仕事は座り込んでの作業ですし、薪割りのように全身の力を要しません。また危険性も格段に少ない。ですから当日の仕事に選んでいたのだと思います。

 きっと、朝焼けに誘わかれて庭に飛び出したものの、激しい作業は避けたかったのでしょう。それが良かったのか悪かったのか、わかりませんが、「好き者」よろしく(と言ってよいのか、性懲りもなくというべきか)夕刻まで没頭してしまいました。

 5束の薪と、6つの篭にクズ燃料がイッパイ積みあがっていました。もちろん、それらのクズのクズを、囲炉裏場の側のクズの山に、いつでも焚火ができるようにさらに積み上げており、ブルーシートを被せ直しています。

 一帯は随分片付きました。ただし、のぶどうの蔓は、妻が(午後の茶を運んで来た時に)「リースの用いたい」といいましたから、片づけては(薪にはして)いません。

 ちなみに、サクラは切り取ると、ヒコバエを出して再生することはありません。ノブドウは切り取っても、旺盛にヒコバエを出してすぐに再生しますから、異なる生き方をさせます。


 

樹皮が異なる細い薪を1本ずつ拾い上げ

妻は19種の小枝の内、15種まで言い当てた

5束の薪

のぶどうの蔓