定位置は居間の軒下(にある犬小屋の前で、ここは床下の冬は暖かく、夏は涼しい風が吹き出す)です。餌は定位置で、夕刻に与えており、食後はいつもそのまま丸くなって寝込みます。ところが近ごろは、毎朝のように席を外しており、どこかにお出かけです。おそらく、小便がしたくなってうろつき始め、3段の階段を降りて用を済ませるのでしょうが、元に戻れなくなるのでしょう。きっと、どこか適当なところに行き当たり、そこでこもりでもするかのようにして一夜を過ごすに違いありません。
犬の(ハッピー?の)オツムでは地理が読めず、定位置は記憶に残っていないのでしょう。嗅覚も当てにできなくなっているようです。また、(3段の)階段を登るのは怖いのでしょう。いずれにせよ、独力で定位置に戻ってきたことがありません。
さらに問題は、と言ってよいのか、むしろ喜ばしきことに、日を追うに従ってハッピーのうろつく範囲が広がっていることです。つまり脚が丈夫になっているようで、3度も北西の角にまで足を延ばしたわけですし、その後はさらにこもっている場所を探しづらくなっています。
この日は2人ともに庭に出るのが遅くなっており、気が付くとハッピーは母屋の玄関のあたりでうろついていました。どこで一夜を過ごしたのか分からず終いです。
翌(成人の日の)朝のことです。また、お出かけでしたが、朝食をとっていると大声で吠えだしたのです。妻は「一人前に仕事をしていますネ」と喜びましたが、吠えたてられているのがプロパンガス屋の検針員と知って、慌てて妻は立ち上がり、ガラス戸を開けながら「その子、目が見えませんし、咬みません」と叫んでいました。
どうやらハッピーは、母屋の玄関わきに植えてあるアオキの茂みの下に寝ていたようです。ガス検針員がその目の前を通りかかったものですから、あわたて起き出して吠え立てたのでしょう。その後、庭に出た折にそのアオキの茂みで丸くなって寝ているハッピーを見ています。
こうしたハッピーの様子を眺めながら、鎖を外して(自由にうろつけるようにして)よかった、と思っています。日に日に脚が丈夫になっているようですし、食欲も増しています。「タッチ」と声をかけますと、立ち上がるまでに要する時間が随分短くなっていますし、一声で立ち上がることさえあります。
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