「つくる喜びとつぶす喜び」
|
舞鶴さんは、お母様が使い残こされた毛糸を引っ張り出し,今は「4つ目の帽子を編んでいる」とのことでした。その3つ目を私はもらいましたが、仕上げは妻がしており、その出来栄えを舞鶴さんに点検してもらい未、喜んでもらえました。 その折に、「同じものは創りたくないんですワ」と舞鶴さんはお笑いでしたが、1つ目の(舞鶴さんが使用中の)作品の並べてみると、似た非なる所がありました。そこに私は、一貫性と多様性の美しさのようなものを感じており、とても楽しくなっています。 まさにそれは、1つの文化に基づいた生活が営まれていた村や街に踏み込んだ時に目の当たりにするような光景や代物のような、一貫性や多様性でした。同時に、人々につつましさや、温かみ、あるいはほのぼのとするような楽しさのようなものも感じました。 創る喜びを感じ取りながら生み出された代物と、そうでないシロモノの間にはおのずから大きな差異が生じるはずですが、その差異が感じ取れるようになると、これまでとは異なる嬉しさや楽しさを感じ取れるようになるのではないか、と私は思っています。そうした嬉しさを共感できるのも、1つの人的資産の賜物かもしれません。 |