ほのぼのした気分
 

 

 手分けして3つの仕事に分かれた際に、私はとても危険な仕事(株立ちのような柿の木の1本を切り取る仕事がありましたが、それ)を受け持った2人と行動を共にしました。わが家では、自己責任を大切にしており、学生にも覚悟をしてもらっているとはいえ、危険な目には合わせたくありません。むしろ、危険を感じ取り、それを乗り越える力と心意気を身につえてもらいたい、と願っています。

 この2人は、必要とする2段式スライド梯をその柿の幹にさしかけてみて、「これはヤバい」「危険だ」と声に出しました。私は、この「危ない」と分かるセンスを高く評価しました。つまり、私の出番です。

 梯の足元を学生に抑えてもらい、慎重に登り、これで「安心だろう」という手を施し、その上に、安心を確実にする注意点を幾つか学生は教えました。そしてその場を離れました。

 2人は順番を決めて梯子に登り始め、交代して作業を続けていました。もちろん、その過程で3度4度と私は様子を探りに行き、その都度気付いたことがあると、コツを伝授しました。

 見事に2人は望んだとおりに柿の幹を切り取り、切り取った作業の狙いも理解したようです。きっとあとで、使ったことがない筋肉を使ったものですから、筋肉痛を楽しんだことでしょう。

 自分たちだけでなく、下にある植え込みを傷つけないように切り取った木を、囲炉裏場に運んでもらうと相当な量でした。そこで、鉈の使い方も伝授しました。

 昼食の時間になりました。この日、1人の男子学生は遅れましたが、10分ほどあとから駆けてきました。その理由が分かりました。弁当を買っている時間がなく、遅れたのです。それぐらいなら「待ってやる」と、リーダーは言わず、駆け着けさせたのです。他に1人、弁当を持参していない女子学生がいて、昼を抜こうとしていることが分かりました。

 そこで、妻に哲チャンと未花ちゃん合作のチキンバーガーを2つ用意して、出してもらいました。その1つを恐縮する女子学生にゆずり、私はさらに、私の半部(2つに切って出してもらっていました)と、弁当を買うために遅れた男子学生のおにぎりの1つと交換しました。かくして合作チキンバーガーを私も含めて3人が味わい始めました。その時のことです。

 2人が「美味しい」と口をそろえたのです。そこで、譲った女子学生に対して、隣に座っていた女子学生と半分こしあうように勧めました。その女子学生の「美味しい」と感想を述べたのです。そこで、かじり始めていた2人の学生に、いまだ味わっていな残る2人の男子学生にもかじってもらうように勧め、全員で合作チキンバーガーを楽しみました。

 その最中に、弁当を買っていて遅れた男子学生が、ボソッと語り始めました。弁当を買うために遅れた反省です。「社会人になれば、その通り、時間に遅れてはいけない」と私流の意見を述べました。

 このあと、2人の女子学生には、焚火と焼き芋担当を受け持ったもらい、3人の男子学生にはグミの古木を根こそぎ取り去るか、地上部だけを切り取るかの選択をさせました。男子学生は力仕事を選びました。私も選んでほしかった。見かけよりも、実際ははるかにしんどい作業ですから、、体験しておいてもらいたかった。

 1時間余かかりましたが、根株の掘り出しもできましたし、焼き芋もできました。ですから、6人でテーブルを囲み、焼き芋の鳴門金時を味わう時間になりました。

 この日は好天でした。ハッピーは柑橘類のマルチングの上や、畑の畝の間に歩み込んで、好き勝手なところで昼寝をしていました。その都度、幾度も立ち上がって移動したわけですが、いつの間にか私たちのテーブルの側にやってきて寝込んだようです。そのころはすでに日が陰っており、冷え込み始めていました。

 なんとハッピーは、男子学生の一人にジャケットをかぶせてもらい、寝ていたのです。

 この日、女子学生の1人は、予期せぬ質問を私にしています。「このような生活で、辛いことってありますか」との質問であったと、と記憶しています。

 私が長期出張の雪の日に、妻がバケツで肥やしの汲み出しをした光景などを述べたりしたのですが、それがどうした、と言わんばかりの顔でした。そこで、夫婦間の考え方の違いに話題を切り替えようと思い、「キミは肥しを汲んでたらよい、ボクはパチンコに」とでも語り始めましたが、「それは辛いですね」と、この生き方の弱さを即座に気付かれてしまいました。

 翌朝のことです。ハッピーは妻に毛布を掛けてもらって眠っていました
 

交代して作業を続けていました

交代して作業を続けていました

、囲炉裏場に運んでもらうと相当な量でした

男子学生は力仕事を選びました

根株の掘り出しもできました

焼き芋もできました

ハッピーは柑橘類のマルチングの上

畑の畝の間

男子学生の一人にジャケットをかぶせてもらい

ハッピーは寝たままでした

誘導に従って戻って来ました

毛布を掛けてもらって眠っていました