世界に冠たる事業

 

 衣服の素材として、まず天然繊維がありますが、その綿や羊毛などはいずれもが食糧生産(に要する肥沃な土地)と競合する関係にあります。次いで、人造繊維がありますが、その代表は ポリエステル繊維です。このポリエステル繊維などの合成繊維が抱える問題は有限の資源である石油に依存していることです。しkし、帝人の松山工場で観た施設は、使用済み ポリエステル繊維を幾度でも原料に還元することができる装置でした。

 要は、現在地上に存在するポリエステル繊維をリサイクルすれば、半ば永久的にポリエステル繊維には不自由せずに済む計算です。

 にもかかわらず、この施設はフル稼働していないし、この完全リサイクルの事実が世界中に知れ渡っているという段階ではありません。それは、日本の「政治の貧困」が原因でしょう。安倍さんは、トルコにまで原発を売りに出かけましたが、そのような暇があるのなら、やがて特許が切れてしまうこの真のリサイクル(エンドレス・システム)こそ、世界に広めようとすべきでしょう。

 やがて原発の輸出がいかに無駄や無理であったかが分かるときが来るに違いありません。そして、地下資源の枯渇問題や食糧不足の問題などが深刻の度を深めることでしょう。

 わが国は、ポリエステル繊維は(製造技術には特許料などの)莫大な対価を支払って生産してきましたが、この還元技術は環境破壊や汚染問題の面でも意義が認められそうですが、国を挙げて取り組むべき課題と思われますが、その拡販に熱心とは思われません。国は、国策として大事な選択と決断が迫られているのではないでしょうか。

 子どもたちの中には、その大切さを直観で察知しているように思われます。それは、この今関信子さんの一書におうところも大、と思います。この啓蒙的な意義が認められ、課題図書として(これまでに2度も受賞した著者であるのに)3度目の受賞者に選ばせるという前代未聞の栄誉に輝かせたのではないでしょうか。

 そのポリエステル繊維の還元工程をこの度見学できたわけです。