6月に備えています

 

 哲範さん夫妻にアイトワの喫茶室を6月から守ってもらいます。不遜な言い方ですが、この誠実な家族に私たちなりの手を差し伸べることによって、生きる見通しをより確かなものにしてもらいたく思っているのです。ですからこの家族を、私たちは「家族ぐるみの書生」のようにして受け入れ、人生を見つめ直してもらいたく願っています。

 アイトワの基本理念は少しも変わりません。むしろその一環の強化です。つまり、この家族にもアイトワの方程式に沿った生き方に挑んでもらい、生きる基盤をより確かなものにしてもらいたく願っているわけです。アイトワの方程式とは、次の通りです。

 「清貧」×「工夫と努力」=「清豊」

 難しい言い方をすれば、「消費の喜び」から「つくる喜び」への転換を促す方程式であり、もっと難しい言い方をすれば、これまでのような(日本人並みの生活を世界中の人が真似たら地球が2.5個以上も必要になる)生き方に流されず、「一つの地球で済ませる生き方」へ移行しながら、自分なりの真の喜びや豊かさを手に入れる方程式への切り替えです。

 もちろん、この私たち夫婦の願いが予期している以上にかなうようなら、喫茶店のありようを一段格上げしたく思います。これまでは「アイトワの一部である人形教室」の「併設喫茶店」であり、それを一般にも開放した姿でした。たとえて言えば、人形教室を「アイトワが生み出した「子」とすれば、これまでは「孫」のような存在でした。その「孫」から「子」のような存在にまで格上げできたら願ってもないことです。この可能性に、つまり自活性に挑戦してもらいたい。

 とはいえ、肝心なことは、アイトワの基本理念をいささかともないがしろにはしてもらいたくない。それでは私たち夫婦のライフワークが、つまり生涯学習として選んだテーマが台無しになります。言葉を替えていえば、単なる自活力なら、哲範さん夫婦のこれまでのやり方でいいわけですが「そうは行かないゾ」というわけです。アイトワの理念にのっとった生活が出来なければ、喫茶店の採算を合わせたところで不合格ダ、というわけです。

 つまり、哲範さん一家は、アイトワの理念にのっとった生き方への切り替えと、自活能力を身に着けことが、同時に求められているわけであり、その難関に挑戦するわけです。

 アイトワの喫茶店には、この試行に踏み出さざるをえない1つ事情がありました。これまでは数名の(妻の友人である)家庭の主婦が主となって喫茶店を守ってきましたが、なにせ28年が経過しました。ここらで一服したい人や、少し気軽になりたい人がいて当然です。とわいえ、皆さんには何らかの形で、せめて得手の部分だけでも、関わり続けてもらいたく思っています。

 もちろんアイトワは、この数名の家庭の主婦の「工夫と努力」だけでなく、大勢のサポーターに支えられて今日に至っています。開店来のお客さんで、手土産などを持参して訪ねて下さる方々にも恵まれていますし、なんといっても人形教室の生徒さんやアイトワ塾生には随分とお世話になってきました。未花ちゃんはこうしたアイトワの歴史や願いを汲み取り、哲範さんと明範クンを誘い、いわば婦唱夫随スタイルで創造的第二の人生に踏み出してくれたのでしょう。

 もちろん他にも大勢のサポーターに恵まれています。中尾電機さん、水島さん、あるいは鷲鷹工さんです。たとえば、この度も、中尾さんに配電盤を一新し、ブレイカーを厨房に取り付けてもらいましたが、おかげで私たち5人は安心して留守にできました、など。

 アイトワの基本理念は少しも変わりませんが、この機に変えることも多々あります。まず6月1日から制服が変わります。これまで妻のお気に入りの品を取り扱ってきたワークショップをゲストルームに変更します。そのために、2客の食卓を新調し、10人前後の会食ができるようにしたわけですが、その食卓の寸法調整が出来た時と、アイトワ塾の開講時間が重なっています。

 これから、メニューも次第に充実することでしょう。そのためにスーパーシェフ堀口さんに支えてもらい始めましたし、この2カ月にわたって人形教室の生徒さんやアイトワ塾生の皆さんには、新メニュー開発のための「お客さん」をしてもらってきました。

 クローズ日も変わります。定休日の火曜日は変わりませんが、これまでは妻の創作休暇として夏と冬に1か月にわたってクローズしましたが、各10日間に減らします。年末年始のクローズもかわる予定です。