究極の指導と助言
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スーパーシェフから「カレーの極意をまなびたい」と考えていたことを、とても恥ずかしく感じました。なぜなら、哲範さんがこの2か月間で考えた宿題をこたえると、「ご飯」ものの位置づけが「甘い」と指摘されたからです。ご飯モノを扱う要注意事項でした。まるで私は「オマエは、いったい何を考えているのだ」と、ゴツンと後頭部をやられたような気分にされました。堀口さんはきっと、私がしょげ返った、と見てとられたのでしょう。途中で唐突に、カレーの極意を妻に対して詳しく説明してもらえたのです。 要は、場所柄や、自分たちが手にしている有利な点、あるいは自分たちの限界などを掘り下げて考え、「メニューやサービス」のありようを見定め、「極める」必要性がある、と指摘されたわけです。この助言に従ってその気になれば、必ずやり遂げられそうだ、との気分にされました。それはあくなき創造性が裏打ちが求められます。創造性に富んだ「手間」がたどり着かせ成功です。「ちょこまかとした技やおざなりのやり方にこだわっていてはだめだ」と教えられたような気分にされました。 スーパーシェフ自信に満ちあふれた人ですが、その源泉にも気づかされました。15歳で親子との縁を切り、手持ちの28000円を頼りにフランスにわたり、今に至る人です。 自信を生み出させる母体は、覚悟と己に厳しい想像力、そして労を惜しまずに創造力を発揮する決意、と私は感じました。それらが現実を知って、よりいっそうの勇気を奮いたたせるようであれば、自信を授けられるでしょう。逆に、自信を失わせる母体は、甘さの2乗でではないか、と考えさせられました。つまり、想像力の甘さと甘い期待です。 もちろん、こうした点は、燻製の何たるかやガレットの極意などの指導を通して気付かされたものです。こうした助言をえながら哲範夫妻を「幸せな人たちだなア」と思いましたし、こうした手を差し伸べてもらえる機会を設けてもらえた網田さんに感謝しました。 企業は絶対に手を出さない空間をいかに活かすべきかと助言に、私もそこまで思い至っていなかっただけに、ハッとさせられています。 |