エネルギー工学が専門の先生が、どうして「幸福」と「黄金律」に興味を持たれたのか、興味津々でお招きしました。実は私も、この2つにはとても興味を抱いてきたからです。
私の場合は、とうていこの2つに真正面から取り組み、その本質を云々することなどとうてい出来そうにはない、とあきらめていました。ですから、あるころから、せめて私生活で「黄金律」に即した「幸福」を追い求めたくなっており、踏み出しています。それは、それまでの日本人の一般的な生き方を「生き方A」とすれば、まるで逆の「生き方B]の実践でした。
同時に、そのころはビジネスマンでしたし、内外の多くの企業と触れ合いよい立場にありましたから、1つの試みを加えています。それは、「生き方B]を夢見る人が働きたがったり、「生き方B]の人生を送ろうと願う人に貢献したりする「ビジネスB」の追求です。
やがて、B型の追求が人類の「必然の未来」であるように思われ始めました。つまり、「生き方A]と「ビジネスA」を放置していたら、やがて世の中は破たんすると見てとったからです。
ところが、わが国のビジネス界は、とりわけ大手企業は、相変わらず「自然ドロボウ」型の「ビジネスA」に終始しているように見えました。多くの人も「ビジネスA」の誘導に従って「自然ドロボウ」の片棒を担ぐような「生き方A」を続けていました。それは欲望の解放を是とする「願望の未来」を追求であり、地球環境を限りなく蝕みかねない、と不安でした。
当時の私の仕事は、豊かな衣生活を通して人々に真の幸福を届けること、と自認していました。ですからおのずと、「生き方B」を求める人を捜し求め、「ビジネスB」を夢見ています。そこには、おのずと自然の許容能力とか資源などの限界を見抜いたり、勤労のあり方を考え直したりする「制御力」が求められました。片や、消費者の立場になった余暇時間では、身の程を知り、おのずとつつましさを追求する「生き方B」を求めるようになっています。
この度、新宮先生と1泊を共にしましたが、先生も豊かなエネルギーを行き渡らせることによって、人々がより幸せになることを願われてきたようだ、とお見受けしました。問題は、その豊かさ観であり幸せ観です。それが「A型」とは相容れないものであったのでしょう。
衣服業界と同様に、エネルギー業界も、多くの人々は「お金」に翻弄され、ビジネス界は「もっともっと」を追求し、消費者に「もっともっと」をそそのかして来たのでしょう。そこに不安を見出され、真の「幸福」と「黄金律」の追求に立ち向かわれたのではないか。つまり、健全なる制御力と、建設的なつつましさが求められ、それが「黄金律」に即した真の「幸福」とにらまれたのではないでしょうか。私は勝手にそうお見受けし、共感です。
ですから先生は、私が「リクチュールの意義」を訴えた90分のスピーチに耳を傾け、そこに同根の思いを見抜いていただけ、共感していただけたに違いありません。このたび、そうであるに違いない、と確信した次第です。実に爽快な気分にされた勉強会でした。
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