アイトワの生き方
 

 餞別として、哲範夫妻には今(終末の)夜、もう一度キチンと、アイトワの生き方を説明します。近く予定されているスピーチは演題が「未来が微笑みかける次の生き方」ですから、その資料を活かします。

 哲ちゃんに、もう一度、わが家のニラを使ってギョウザを作ってくれるように頼んでいます。そのギョウザを夕食を共にした後で、未花ちゃんは、文明社会の中で、精いっぱい生きています。ケナゲなほど精一杯生きています。もちろん哲ちゃんも、もっと精いっぱい生きている、といってよいでしょう。でもその生き方は未来が見捨てる生き方だ、と私の目には映っています。工業社会の誘惑に負けています。

 豊かになるには、豊かな資産が求められますが、工業社会は大切な資産を見失わせがちです。哲範さん一家もそれに気づいていない。最も大切な資産は「経済的資産」ではなくて「環境的資産」ですが、その護り方や活かし方が人間中心主義になっています。野生動物は今も、「環境的資産」のみを頼りにして生きていますが、それへの配慮がたりない。

 もちろん人間は「環境的資産」だけでは生きて行けない。家に住みますし、衣服も着ますし、食べ物も煮炊きをしたい。ですから、助け合いが求められます。つまり、「人的資産」が大切なのです。この相互扶助のあり方が、不十分に思われます。

 要は、3匹目のネコのあり方ではないのです。この点を伝えたく思っています。