多様な作業
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小用で5時に庭に出たときはまだ雨は降ってはいませんでした。(花期を終えた)サラの樹や(未受粉の種房をほぼ落としきった)ハクモクレンの樹の下は、まだコケが張りつめていませんが、適度な湿り気を得て美しかった。でも、目を凝らすと、裸眼の私の(きつい老眼の)目にも芽吹いたばかりの野草が飛び込んできました。この除草が、この日一番の庭仕事になりました。と言っても、腰が痛くなるまでの20分ほどで切り上げており、これから数日にわたってササの芽の切り取りも済ませよう、と思っています。 雨後の除草はとてもし易いのです。農具を使わずとも草が簡単に抜けますし、抜いた後の乱れた土を少しととのえて掌で抑えておくときれいに収まります。しかも、乾けば土がそのまま固まり、コケが生えやすくなります。 次に庭に出たのは、水島さんが来てくれた8時半で、草刈から手を付けています。水島さんはパーキングに車を停め、仕事場(「庭のトイレ」を作り始めた)まで行き来しますが、畑の畝間も歩まなければなりません。そこで、その間にあって、水島さんの足元の邪魔(とりわけ雨の後などは靴やズボンの裾を濡らすこと)になりそうなアヤメ、ヨモギとかサクラタデなどの野草、そしてホースラディッシュなどを刈り取っています。 この最中に雨がパラつきましたが、水島さんが天気「予報通ですね」とつぶやいており、この一言がなぜか私の心にとても強く響きました。草刈は、小雨をついてやり遂げました。その折に、小さなコンニャクの芽が水島さんに踏みつけられずに済んでいたことに気付かされており、その側に植えてあった大きなコンニャクのその後にも、目をかけています。 大工仕事に手をつけたのは草刈りの後の昼前です。野小屋の一角をいじくりたくなったのです。前日の骨休めがよかったのでしょうか、ワークルームまで一輪車を押して道具を取りに行く気が起こっています。ハッピーの死期が近づいた時に鎖を解いて過ごさせてやりたくなり、行動範囲を限定するうえで必要となったバリアーを用いましたが、その収納場所を定めたのです。 必要になることは二度とないだろう、と思いながらこの木製のバリアーに防腐剤を塗ってあったてまえ、これが後日思わぬ発想を促さないとも限らない、と思い直したわけです。 昼食の後、後藤さんに3時に起こしてもらえることを期待して、新聞を寝転んで読み始めました。実は前日、後藤さんから電話で、七夕のタケを下の娘と取りに行きたい、と聞かされていたのです。おかげで、寝過ぎずに済み、午後の庭仕事に張り切って当たっています。 後藤父娘を見送った後、瞳さんにもらったハヤトウリの1つを点検しました。後藤父娘にタケを切り取ってもらった所はイノシシスロープの一角でした。そこはホップのフェンスの近くであり、ハヤトウリの1つも植えてありました。幸いなことに、そのツルは腰のあたりまで伸びていました。そこで、その支柱を立てたくなり、未開封のガーデンアーチセットを取り出し、組み立て、暫定的に立てています。ハヤトウリは1年草ですから暫定的に立てたわけですが、庭のデザインとして観た場合は、このアーチは望ましく思われそうですから、恒久的に活かす道を考えることにしています。 この一角は、ついこの間までは竹ヤブであった、と言ってよい状態でした。竹は佛教大学の学生に切り取ってもらい、ツバキやカシの木は、冨美男さんに切り詰めてもらっており、日当たりが良くなり、植生を変えています。それだけに夜叉タケが次々と芽を出します。 そこで、その刈り取りをし始めながら未花ちゃんを思い出しました。一度、未花ちゃんにこの刈り取りをしてもらいましたが、明範クンとオシャベリをしながら当たっていました。その後、また夜叉竹が出ており、随分伸びたことを伝えましたが、彼女は2度と手を付けておらず、私が刈り取っています。そのことを思い出し、あのオシャベリは無駄話であったのだ、と追認したわけです。つまり、タケという生き物を制御する仕事を彼女に与えたわけですが、その意味合いがまったく分かっていなかったわけだ、と気づかされたわけです。 もし私が(立場が逆で)この仕事を与えられたら、大喜びしでいたことでしょう。もちろん子どもがいたら、必ず手伝わせたでしょう。そして、オシャベリをしながら携わったことでしょう。しかし、そのオシャベリの内容はまったく異なっていたわけだ、と気づかされたわけです。つまり、私なら、話題は携わっている仕事の意味あいであり、タケの生命力についてであり、従ってその後の観察の必要性とフォローをテーマにしたことでしょう。 この庭に来る学生は、こうした私のオシャベリを楽しみしてやってきます。もちろん、明範クンが越してきた当初は、一緒に作業に当たった時は、学生たち以上に丁寧にオシャベリをしました。その仕事の意義、取り組み方、期待される出来上がり、そしてフォローの仕方など。彼はとても目を輝かせて反応していましたが、1度たりともその話を生かさずに去って行きました。 私の生き方は、与えられた仕事に喜びを見出す生き方です。まず仕事を得たら、存在する価値を認められた、と感じて喜びます。そして、その仕事を与えてくれた人の意図を忖度しながら当たります。その過程でさまざまな発見や発想に巡り合ってきました。時には、仕事を与えてくれた人の意図や期待を超えていた時があります。その超過を共に喜び、さらなる超過を誘発するように誘ってくれた人がいましたが、そうした人を慕うようにして生きてきました。 なにせ2週間ぶりの夜叉タケの刈り取りでした。ですから20分近くかかりました。でもこの間に、未花ちゃん一家の生き方(フォロー型)と私たちの(ストック型)生き方が相容れないものであったことを確信しただけでなく、未花ちゃんは「己の信念を貫いたわけだ」と気づかされています。また、哲範さんと明範クンの3か月も振り返っています。 やって来てから1カ月ほどの間は、ドラマチックなことがあるとその場に一家に集ってもらい、紹介しました。珍しい虫を見つけたり、草や木の葉の裏に産み付けられた謎の卵を見かけたりした時のことです。この庭には、5種、あるいは6種のカマキリが、マイマイは7種が、棲みついていることや、200種ほどのキノコが出そうなことや、40種ほどの鳥が餌取りに来ることも教えました。しかし、3か月の間に、家族が小鳥の姿を求めて早朝に庭に出た姿を見ていません。 こうした心配をしているときに妻がオヤツを運んで来ました。4時過ぎでした。 その後、畑に移動しました。まず、温室の側のアーチを点検しました。ノウゼンカズラを植え付け、その支柱として立てたアーチの点検です。このアーチの他方の足元にもノウゼンカズラの苗を植えてあります。この2本が順調に育てば、この組み立て式アーチ(薄い鉄パイプ製)に絡まり合って太く育ち、アーチが腐食しても自力で立っていることでしょう。 5時過ぎから花を咲かせていたキクナの畝に手を付けました。まず、花と蕾がついた部分を刈り取り、喫茶店に持ち込みました。松原さん(喫茶室を開放来26年間お世話になっている)に幾か所かに分けて活かしてもらえました。次いで、残っていたキクナを抜きとり、堆肥の山に運んでいます。そして、スコップと備中鍬で耕して(有機肥料は割愛し)、そのままモロヘイヤの苗を植え付けました。後日、マルチングを分厚く敷くなどして追肥するつもりです。 堆肥の山もやっと体をなしました。この日に刈り取ったアヤメ、ヨモギとかサクラタデ、ホースラディッシュ、そしてキクナなどを、井桁のように積み上げたからです。 |
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まだコケが張りつめていません |
芽吹いたばかりの野草が飛び込んできました |
Before 足元の邪魔になりそうなアヤメ |
After |
ホースラディッシュなどを刈り取っています |
小さなコンニャクの芽 |
収納場所を定めた |
ガーデンアーチセットを暫定的に立てています |
夜叉タケの刈り取り |
松原さんに幾か所かに分けて活かしてもらえました |
松原さんに幾か所かに分けて活かしてもらえました |
井桁のように積み上げた |